(株式会社ポニーキャニオン本社 イベントスペース ミキシングコンソールからイベントスペースを見る)
今回は、株式会社ポニーキャニオンの本社オフィスにやってきました。
ポニーキャニオンは1966年10月、ニッポン放送のグループ会社として誕生。1970年には、㈱キャニオンレコードを設立、電機メーカ―系のレコード会社が多かった時代にフジサンケイグループというマスコミを背景に設立されたユニークなレコード会社でした。同時期に情報時代の新製品・ビデオソフトに着目、他社に先駆けて発売を開始します。80年代には音楽パッケージがレコードからCDへと変化、音楽・映像共にパッケージ売上が急激に伸長しました。映像作品のデジタル化が始まった90年代後半には、世界初となるDVDソフトを、2006年には日本初のBlu-ray作品を発売します。一方で2000年代初頭には映像・音楽の配信ビジネスをスタート.そして現在、音楽・映像という枠組みにとらわれないコンテンツの充実と事業を推進し、総合エンタテインメント企業として様々な分野にチャレンジしています。
2019年5月、同社は「コミュニケーションからのイノベーション」をテーマに、20年業務を営んできた虎ノ門から六本木にオフィスを移転しました。社員同士が交流するコラボレーションスペースを各フロアに配し、ラウンジエリアも設置。さらにアーティストルーム(楽屋)も備えたイベントスペースなど、様々な目的で活用できる空間を備えています。
では、さっそく、その新オフィスを見てまいりましょう!
ポニーキャニオンの新オフィスは、地下鉄南北線「六本木一丁目」に隣接する「泉ガーデンANNEX」を一棟借りしています。アークヒルズ、住友不動産六本木グランドタワー、六本木ファーストビル、泉ガーデンなど高層オフィスビルが立ち並ぶ一角であり、泉ガーデンをのぼった泉ガーデンレジデンスの並びにあります。
泉ガーデンアネックス外観 画像: 同社提供 (※)
多様な事業を展開する同社の勤務者は約450名。
移転前の住友不動産虎ノ門ビルも一棟借りをしていましたが、今回の泉ガーデンアネックスも一棟借りになります。
2Fにあるエントランスへ上がります。
2Fロビー 大型LEDサイネージが印象的 画像: 同社提供 (※)
エントランスには大型LEDサイネージがあり、同社事業のひとつであるエリアアライアンスの映像をはじめ、アーティストのPVなどが流れていました。解像度7680×1440、画面比率16:3という、超横長の大画面に目を奪われます。
エレベーター前にある受付電話で担当の方に連絡し、3階へ。
エレベーターを降りて左の商談室へ進みます。各フロアのエレベータホールには大型モニターが設置されており、同社が手がけた映像が常時流れています。
商談室前の待合ロビー。
ここにもアーティストのプロモーション映像が流れています。
大型モニターの向かいには、壁をくり抜いたかっこいいベンチシートがあります。
先ほどの待合ロビーから先へ進むと、商談室が並んでいるエリアになります。
各室、会議室予約システムで管理されています。
こちらが商談室内部。家具はコクヨ。
ではさっそく社内のツアーに出発。まずは噂のイベントスペースに向かいましょう。
いったんエレベーターホールまで戻り、商談室エリアの反対側、今度は右へ。
ここがイベントスペース入口です。入ります。
天井はスケルトン化され、上に横に空間が広がります。
イベントスペースの内部はかなり広く、収容人数は着席で150名とのこと。
同社は移転前のオフィスでもイベントスペースがあり、小規模なイベントや記者会見などにも利用していたとのことで、移転にあたり、機能面、スペースも拡張されたとのことです。
こちらはステージ側。
イベント時以外は打合せや商談などにも利用されるとのことで、取材時もフロア内のテーブルで打ち合わせをされている方がいらっしゃいました。
イベントスペースの奥は一段高くなっており、音響と照明の機材が並ぶコントロールブースになっていました。超本格的です。普通の会社のイベントスペースとは違い、プロ感が漂います。
広いですね! 企業のイベントスペースとしては最大級と思われます。
制作発表など、各種の記者会見もこちらで行われます。
ステージの袖には階段があり、イベントに出演する方々のアーティストルーム(楽屋)へとつながっています。
移転前は楽屋がなく会議室を楽屋代わりにしていたため、今回の移転にあたり、アーティストルームの設置は関係者念願のスペースだったとのこと。
照明つき化粧ミラーのついた楽屋です。こんな本格的な設備があるとは。気分が上がります。
取材部屋としても活用できる応接セットのついたタイプも。
こちらはアーティストルーム前の通路。通路は登壇の順番待ちをしたり、ちょっとした練習もできるスペースになっていました。マネージャーや関係者が仕事できるようカウンター席も用意されています。
イベントの現場裏を垣間見ることができ、やはり普通の会社とは違うエンターテインメントなムードを感じます。
次は4階にあるラウンジへ行ってみましょう。
エレベーターで4階に上がります。
ラウンジ入口が見えてきました。
こちらがラウンジのエントランス。
中へ入ると......
こちらがラウンジ内のカウンター。
ジュースやスムージーなどのドリンクをオーダーできます。
スケルトンの天井がいい雰囲気です。
壁際のソファ席や、窓際のカウンター席。
カウンターで外を眺めながらのカフェタイムもリラックスできそう。
こちらにはファミレス席。
格子の仕切りがいいですね。
ファミレス席をアップで。ランチにも、ちょっとした打ち合わせにも。
テーブルもスッキリとしたデザインで床に固定。
窓の外には緑が広がります。隣の泉ガーデンギャラリーの庭園が借景になっており、都心とは思えない緑豊かな風景が眼前に広がります。
ソファ席もオシャレです。落ち着けそう。
ラウンジ奥から撮影。フロア中央部分はテーブル席になっています。
こちらは先ほどの写真の奥側、モニター裏です。自販機はこちらに。奥は喫煙室です。
ラウンジの次に、音響・映像制作の現場を見せていただきました。
エレベーターで一挙に7階へ上がります。
こちらは天然木の壁で温かみのある空間になっています。右側は壁面収納。
マスタリングを行う編集室が並んでいます。
こちらの部屋を覗かせていただきました。
中の様子。コンソールに、モニタスピーカーが機能的に配置され、エンジニアの方が音響編集をされていました。室内はもちろん防音です。
ほかにも、
こちらの部屋は......
映像編集を行う部屋です。機材がいっぱい。
お仕事の邪魔になるので、作業していないときの写真をお借りしました。
マスタリングルーム(Mastering A) 画像: 同社提供 (※)
壁には吸音材だけでなく木も取り付けられており、残響などが最適になるよう調整されているとのこと。
マスタリングルーム(Mastering B) 画像: 同社提供 (※)
自社作品の約8割は、このマスタリングスタジオでマスターを作っているとのこと。すべてのCDマスターは、エンジニアがこのスタジオで最終検聴作業を行っており、品質管理も行っているそうです。
編集ルームのある廊下を抜けると、
こちらはスタジオ外にある、スタジオエンジニアの皆さんの執務エリア。
制作の現場を見ることができました。素敵ですねー。
こちらのフロアは執務エリアも含め、木目調だったり、天然木など、木をあちこちに使って温かみがある空間づくりをされているのが印象的でした。
では、執務エリアへ向かいましょう。
執務エリアはこちらのビル内にいくつかありますが、機能面など、おおよそ同じに作られているとのことで、取材した5階と6階を、あわせてご紹介していきます。
エレベーターで6階へ。
執務フロアに足を踏み入れると、まず目につくのは、
フロア中央に作られた「コラボレーションスペース」
カフェカウンターテーブルになっています。
フロアの中央にあって、こちらにコーヒーを飲みに来たり、休憩したり、雑談したりできる空間です。
このスペースは社員の皆さんの憩いのために作られたもので、活発なコミュニケーションを促し、イノベーションにつなげていくための場となっています。
カフェのサイン。
コーヒーやお茶が用意されています。
コーヒーサーバー、紅茶などもそろっています。
カウンター前にはテーブル席もあります。休憩や軽い打合せもこちらで。
ゆったりできるソファのスペースも。
中央のコラボレーションスペースは執務席に近いですが、グリーンをあしらったオープンな格子で仕切られています。開放感がありつつも、ゾーニングを感じさせるデザインです。
執務席のほうに進んでみましょう。
執務席は固定席制です。
スッキリとしたデザインのこちらのデスクは、コクヨ サイビTXですね。連結型のデスクです。
1人用のスペースは幅1200mm、奥行700mm。社員の方からの要望で以前より広くなったとのこと。
家具選びは、移転プロジェクトメンバーが家具メーカーに出向いて触ったり座ったりして、椅子なども決めていったとのことです。
椅子は、コクヨの「ing(イング)」です。
フロアの角には、ガラス張りの会議室がありました。オープンな雰囲気です。
フロア内は基本的に仕切る壁を作らず、オープンに、執務デスク、コラボレーションスペースが一体として構成されています。
窓際には、外の景色を見ながら座れる席がありました。
防音効果がありリフレッシュできる空間となっています。
軽く打ち合わせができる一角もありました。「ちょっとそこで話そう」みたいに使える空間ですね。
撮影が長引いて夜になってしまったのですが、昼間に撮影できた分がこちらです。
素敵な眺めで仕事のことを忘れてしまいそうです。
執務席近くに、こういうリフレッシュスペースがあるといいですね!
こちらは1on1ミーティング用の部屋とのこと。
皆さんのロッカーです。
執務エリアの中央に休憩や雑談の出来るコラボレーションスペースがあり、オープンな雰囲気が伝わるかと思います。
どのエリアも、とても活気がありました。
他の執務フロアも見せていただきました。
コラボレーションスペースや、休憩スペースなど基本的に同じように作られています。
コラボレーションスペース。
テーブル席とカウンター。窓際はソファ。
執務フロアを中央から撮影。
造作のカフェカウンター。アシンメトリーなところなど絶妙なデザインです。
ソファ席は、リラックスして話ができそうです。イスやテーブルはいろいろなデザイン家具が置かれていました。社員の方が選んだものが多いとのこと。
こちらでおおよそオフィスを一周してきました。
充実の執務空間でしたね!
今回のポニーキャニオンのオフィス訪問では、イベントスペースやスタジオなど、エンジニアやクリエイティブの方々が働く、制作会社ならではのプロフェッショナルな空間を見ることができました。エンターテインメントが生まれる現場として、「コミュニケーションからのイノベーション」というテーマにふさわしい、コラボレーションのための仕掛けが随所にみられました。
このオフィス移転はどのようにして進められたのか、プロジェクトリーダーを務めた古宇田隆之助氏(同社総務人事本部総務部長)にお話を伺いました。
記事の後編をぜひご覧ください。
「コミュニケーションからのイノベーション」を掲げたポニーキャニオンの本社オフィス移転プロジェクト (オフィス訪問[2])」
ポニーキャニオンは1966年10月、ニッポン放送のグループ会社として誕生。1970年には、㈱キャニオンレコードを設立、電機メーカ―系のレコード会社が多かった時代にフジサンケイグループというマスコミを背景に設立されたユニークなレコード会社でした。同時期に情報時代の新製品・ビデオソフトに着目、他社に先駆けて発売を開始します。80年代には音楽パッケージがレコードからCDへと変化、音楽・映像共にパッケージ売上が急激に伸長しました。映像作品のデジタル化が始まった90年代後半には、世界初となるDVDソフトを、2006年には日本初のBlu-ray作品を発売します。一方で2000年代初頭には映像・音楽の配信ビジネスをスタート.そして現在、音楽・映像という枠組みにとらわれないコンテンツの充実と事業を推進し、総合エンタテインメント企業として様々な分野にチャレンジしています。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2019年8月20日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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