同社の新設された食堂「UB1 TABLE」
こちらは「イベントホール・社員食堂を増床!ユナイテッド株式会社のオフィスへ行ってきました (オフィス訪問[1])」の続きです。
事業変化の激しいネット業界において、事業変革に挑戦し続けているユナイテッド株式会社のリニューアルプロジェクトは、どのようにして進められていったのか。
プロジェクトチームの尾崎友美さん(コーポレートカルチャー本部人事部総務労務グループ)、大塚麻未さん(同本部広報グループ UB1 TABLE統括マネージャー)、江川みどりさん(同本部広報グループ)の皆さんにお話を伺いました。
――最初にこのビルに移転されたのはいつですか。
尾崎 2011年11月だったかな。まず9~10階を借りて、そのあと12階を増床して、その後隣のビルを借りました。
――今回、オフィスをリニューアルしたきっかけは。
尾崎 社員が増加し、子会社の人数もどんどん増えたことや、社員食堂スペースを作りたいという思いもあり、新卒を迎えるにあたってスペースの増床を考えました。当初は近隣に新たな場所を探していたのですが、ちょうど同じビルの地下が空き、スペースも十分だったので、思いきって会議スペースやホールスペースを地下に移動して執務エリアを広げました。
ただ、総合受付を地下にするのはちょっと勇気が要りました。お客さんの案内をどうしようかとか、動線をどうしようかとか。結局、受付システムを入れ、チャットワークを活用することになりました。
――ここには何名ほどの方が働いているのでしょう。
大塚 今働いているのはアルバイト含め、約250人です。
尾崎 社内ミーティングが多いので会議室は足りていませんでした。増床によってスペースに余裕ができたので、オフィスフロアにも、コミュニケーションをとれるミーティングスペースを多く設けることができました。
同社 オープンミーティングスペース。通路沿いに設置されている。
――増床のコンセプトは「UNITED FIELD」ですね。どんな意味が込められていますか。
尾崎 ユナイテッドという当社のバリューも意識しながら、多様な個性が集まって、チームとしての絆を育んでいくという思いをこめました。地下ですが、暗く閉塞した感じにならないように天井を高くして開放感があるように作りました。フィールドのようにいろいろなエリアを設け、多様性を表現しています。会議室はあえて番号にして、球場のようなスタジアム感を演出しています。また、入口とゲートの部分には金網を使いました。
地下の食堂を通路側から撮影
――2018年12月にリニューアルされたわけですが、プロジェクトチームが始動したのはいつ頃でしたか。
尾崎 ゴールデンウィーク前に話が出て、場所が決まって契約したのが夏ごろでしたから、半年ぐらいということになりますね。かなりのハイペースでした。 プロジェクトメンバーは総務の人間とシステム管轄の部署がメインになり、弊社代表も入りました。UB1のチームと、執務エリアのチームに分かれて、会議は5人ほどで進め、その都度、各部署や子会社などにヒアリングしながら進めました。
――どんなことに苦労しましたか?
尾崎 子会社も計算に入れた面積の調整や、スケジュールを組むのが大変でしたね。社員全員が移動するレイアウト変更になりましたので、まず地下を作って、そこに一時移転してもらって、その間に上の工事を進めたんです。一時的にホールで仕事をしてもらった子会社もありました。部署ごとに人を集めてそうしたことを説明して回るのも大変でした。
――フリーアドレスは検討しなかったのですか。
尾崎 フリーアドレスも検討しましたが、営業が多い会社ではありませんので、固定席の方がいいという判断になりました。ただ席の変更が多く、そのたびに荷物を詰めるのに苦労していたので、それを解消するため、天板がつながっているワゴンを置くことにしました。
――それまでは単体の片袖デスクを使っていたのですか。
尾崎 脚がキャビネットになっているデスクで、これは引越しするのもレイアウト変更するのもすごく時間がかかりました。
執務デスク コクヨ サイビTX
キャビネット机とは別に独立している。
――チームの変更などは頻繁なのですか。新しいプロジェクトが立ち上がって人が移動するというような......
尾崎 かなり多く、本部内でも新グループができたり、組織を組み換えることは頻繁にあります。
――増床部分を普通のオフィスにしなかったのは、社員食堂を作りたかったからということですか。
尾崎 そうです。以前は残業も多く、食事も出来合いの弁当を食べる社員が多かったので、健康的に仕事をしてほしいという当社代表の思いから、社員食堂を作れるような場所をずっと探していました。
食堂「UB1 TABLE(ユービーワン テーブル)」のエントランス
――提供しているメニューも健康を意識したものだとか。
大塚 そうですね。食通が集うことで知られる下北沢のレストラン「salmon&trout」を立ち上げた森枝幹さんというシェフがプロデュースしてくださっているのですが、健康を意識して、野菜をたくさんとれてバランスがとれた料理を考えてもらっています。
近隣にもレストランはありますが、デイリーでローテーションできるようなところがなかなかない。とくに健康的でボリュームもあるというお店はあまりないですね。 社員の健康管理という面では、残業が多い人をチェックしてアラートを出すなどという取り組みもしています。健康重視ということでは、ヨガの先生を社内に招いて教室を開くということもしていますね。
食堂「UB1 TABLE」内
メニューは日替わりで3種類
――「金曜どうしよう?」という制度(毎月第3金曜日の午後を仕事以外でも自由に使える制度)がありますね。
江川 社内では略して「金どう」と呼んでいますが、これが定着しているのはすごいと思います。金曜の朝に旅行かばんを持って出社して、午後から旅行に行くこともできます。
――本当に全員帰っちゃうのですか。
江川 営業部は第2週と第3週に分かれて分担して「金どう」をとっています。「金どう」の前の週になると「今週の『金どう』どうしますか?」とチャットが回ってきて、現場で調整するコミュニケーションもありました。
――社員食堂やラウンジができたことで社内のコミュニケーション促進に効果はありましたか。
尾崎 食事しているスペースで知っている人を偶然見かけて、一緒に食べたりしている光景を見かけます。
大塚 食堂ができて皆で一緒にご飯を食べる機会が増えたという声は良く聞きます。外に出るよりも早いし、グループのメンバーと上司が誘い合って来たり、頻繁に使っている方が部署の人を連れてきたりもします。
――社外からの来客とも一緒に食事できますね。
大塚 それもあります。打ち合わせが終わるのがお昼前後だったりすると、続けてランチしたり。お客様を会議室にお通しするときに、金網フェンス越しに食堂の様子が見えるので、自然に社員食堂の話になるんです。それで、打ち合わせが終わると「食べに行きましょうか」という話になります。
――社員の皆さんの利用や感想は。
大塚 毎日社員の約3割は地下を使ってくれていて、評判もいいです。ご飯がおいしいと言ってくれるし、定価は1000円ですが、社員価格は500円ですからお得感もあります。
――営業時間外には、あのスペースで仕事をしてもいいんですよね。
大塚 はい、自由に使えるスペースです。気分を変えたり集中したり、働く場所を選べるということは社員にとってすごくいいと思います。
ホールやラウンジ、食堂は打ち合わせの場としてもかなり頻繁に使われていますね。好みもあると思いますが、ホールやラウンジだと集中できるという人たちがけっこういます。
働く場所としてや、社内外の人とコミュニケーションが取れるスペースとして活用されています。
――外に食堂を公開したら、人気が出て社員が入りきれなくなるのではという懸念はありませんでしたか。
大塚 ホールとラウンジを社員専用エリアとしていて、ホールだけでも80席以上ありますから、そこは何とかなると思っていました。混む日はいっぱいになりますが、今のところうまくいっています。
――渋谷区が企画する小学生の学びの場「こどもテーブル」などの地域イベントなども行っていますね。
大塚 地域に貢献することを考えたときに、食堂を一般のお客さんにも公開したり、「こどもテーブル」も含めて、社外の方が参加できるイベントをやろうという話になりました。
――そうしたイベントも含め、UB1 TABLEの運営はどのように行っているのですか。
大塚 私ともう1人がUB1の担当で、運営は森枝シェフが所属する会社に業務委託しています。社員食堂として社員の意向も反映させるために、週1回定例ミーティングを行って、メニューやオペレーションの方向性を話しあったり、より良い運営を目指しています。
「こどもテーブル」は、食堂を統括しているメンバーと私が中心になって企画運営していますが、社員もボランティアで手伝ってもらっています。子どもたちの学びの場として、季節を意識したコンテンツを企画していて、食堂で開くイベントなので食に関わる内容が多いです。9月はお彼岸に合わせておはぎづくりで、和菓子職人さんに和菓子の歴史を教えてもらいながらおはぎを作りました。ローテーションで、プログラミングスクールを運営しているグループ会社のメンバーを講師に招き、プログラミング教室も開催しています。来年からプログラミングが小学校の必修科目になることもあり、小学生の関心も高いので人気のコンテンツです。
――社外との交流が多い社風は、もともとのものですか。
大塚 本来の仕事においては、社外の方と頻繁にかかわる機会が多いわけではありませんが、食堂があることで、近隣で働いている人も来店されますし、社外の方にホールをお貸してイベントやセミナーが開かれる際、社員が参加することもありますから、社外の方との交流の機会は増えたと思います。
一方で、社内向けのイベントも盛んです。この8月にも社内の夏祭りがあって150~160名ほどの社員が参加したと思います。ホールやラウンジ、食堂は社員交流の場としても活用しています。
――そういうイベントの企画が自然に出てくるのですか。
大塚 組織を横断した社内活性化プロジェクトというものがあって、ラウンジで社員交流を目的とした一日限定のカフェを開いたりもしています。
大塚 会話よりもチャットベースでの仕事が多い部署もありますが、騒ぐときは騒ごう!という感じです。
尾崎 仲はいいし、雰囲気もいい。お互いの個性を尊重している感じです。
江川 個性的なファッションをしていたり、机にぬいぐるみをたくさん飾っていたりという部署もあります。いろいろな人が集まっていて、それぞれの個性を認めあっているような雰囲気です。
大塚 平均年齢が27歳、20代前半の子が多いので元気がいい会社ですね。
――多様な人たちに新規事業を積極的に立ち上げてほしいという方針が会社にあるということですね。
大塚 U-CHALLENGE(誰もが新規事業を提案できる)やU-PRODUCE(新規事業創出を一から学ぶ)、U-START(提案者自らが経営者となって起業できる)といった新規事業創出のための制度がたくさんありますから、アイデアを持っていれば、それを発展させるのに適した環境だと思います。増床したスペースも、そういう打ち合わせやコミュニケーションに役立てる環境になっていると思います。
アドテク事業、投資事業、コンテンツ事業などを展開する博報堂DYホールディングスグループの企業。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2019年9月27日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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