(ウシオ電機株式会社 本社受付)
今回は、ウシオ電機株式会社の本社オフィスを訪問しました。
ウシオ電機は、産業用光源をはじめとした光応用製品ならびに産業機械を扱う東証一部上場のメーカーです。ハロゲンランプのトップメーカーであり、各種産業用ランプにおいても高いシェアを持ち、デジタルシネマ事業、メディカル分野への進出も積極的に進めています。
同社は、前オフィス入居ビルの取り壊しを機に移転を決め、2015年1月「ワークスタイル変革活動」をスタート。プロジェクトチームを結成し、働き方と働く場の変革に乗り出しました。その過程で集められた施策アイデアはおよそ2,000個。7つの分科会が優先度をつけて次々と施策を実行し、2016年3月28日に移転を完了しました。以降3年が経過していますが、移転後も東京オフィス活性化委員会により積極的な活動が続けられています。
注目すべきポイントは、執務エリアに部門間コミュニケーションを促進するため、フリーアドレス制の導入とともに、様々なコミュニケーションスペースを用意し、集中ブースなども設置して、働く場所と働き方双方の改革を進めているところです。また、自社製品を紹介するショールーム、イベントも開催可能なホワイエに大きくスペースを取って、社外に向けたコミュニケーション拠点としているところも見逃せません。
今回は、そんなウシオ電機のオフィスを紹介していきます。
同社の入居するビルは、場所は丸の内。丸の内オアゾの隣にある丸の内北口ビルディングの17・18階にあります。東京駅ほぼ正面の立地で、JR東京駅から徒歩3分、東京メトロ東西線「大手町駅」直結という至便のロケーションです。
エレベーターで17階に上がり、エントランスへ向かいます。
エントランスから中に入ると、同社ショールームとなる広い空間が広がっていました。
こちらで担当者をお呼び出ししていただきます。
受付に隣接する形で、広々としたショールームになっており、待つ間に製品を眺めたり、座って待つことができます。
光のプロフェッショナルであるウシオを広くPRし、訪れたお客様をもてなすことができる空間です。
展示の数々。
同社事業の中核である産業用特殊光源・機器。こちらは超高圧UVランプ。
ウシオ設立時のコンセプトをベースに、光そのものを知っていただくために、「光をあかりとして、エネルギーとして。」というテーマを設定し、ウシオグループの事業領域やソリューション、可能性の幅広さを感じていただくことを目指しています。マーケットや技術の切り分け、それを支える要素技術の収集なども考えて構成しています。
(同社)
同社は光の分野で高いシェアを誇るものの、産業向け製品ゆえに、その技術や可能性が伝わりにくい面があるそうで、このように展示することで同社の技術をいろいろ知っていただけるようになったとのこと。新卒採用面でも効果が出ているとか。
シェルフの後ろ側は、カウンター席もあり、打ち合わせのできる応接スペースになっていました。
こちらは、Communication Zone (コミュニケーションゾーン) と名付けられています。
天井の照明は、木漏れ日を再現するライティング。同社の子会社による特注によるもの。凝り方がすごいです。ちなみに、このエリアはイベント時には会議室とつなげて大きなパーティフロアの一画になるよう設計されています。
奥にあったのは映写機。同社では、映写機や映写機用光源に力を入れている。
クラシックな映写機は亀有の映画館から引き上げたものとのこと。
思わず足が止まります。
入ってすぐのスペースには、大型のデジタルシネマプロジェクターが設置されており、クリアな映像を送出していました。
「Akari Zone (あかりゾーン)」と名づけられた広い通路を通り、会議室・応接室エリアへ向かいます。
さまざまな光が展示されています。
ちょっと美術館のような雰囲気ですね。美しい。
こちらが会議室・応接室が並ぶエリアです。
コミュニケーションゾーンと名付けられたこちらのエリアは、主に来客との打ち合わせに使われますが、社内の会議にも使用されます。
応接室には、それぞれ、光をテーマに、色の名前がついています。
こちらはYellow。
家具や調度もその色がアクセントカラーに使われています。
一般の会議室も並んでいます。
コミュニケーションゾーンの通路を抜けると、ホワイエのエリアが見えてきます。
こちらがホワイエの入口。
中に入ると、
おしゃれなラウンジになっていました。
中にはカウンターキッチンも装備。
明るくて気持ちのいい空間ですね。
テーブルと椅子は、ここで開催されるイベントなどにあわせて動かせるようになっています。
ホワイエでは、社内外の人を招いたイベントが開催され、広くコミュニケーションを促進しています。
下の写真は、コミュニケーション革新分科会(移転にあたって結成されたワークスタイル変革プロジェクトの分科会のひとつ)が企画した「利き酒会」の様子。これは社内イベントで、日本酒好き40名が集まったとのこと。
利き酒会の様子 (画像: 同社提供) (※)
利き酒会の様子 (画像: 同社提供) (※)
盛り上がっています。いいですね!
それではエレベーターで18階に移動し、執務スペースを見てみましょう。
こちらが執務エリアのエントランス。中では220~230名が勤務されているとのこと。
中に入ってみました。
見通しのいいレイアウトになっています。
執務席は基本的にフリーアドレスになっています。
在籍率を調査し、在籍者に対して7割ほどの席数になっているとのことです。
ただし、業務的に固定席を使いたい場合、固定席化することができるとのこと。
こちらの「使用中」のプレートがついている席は、現在固定席として使用しているサインになっています。
また、固定席になっていても、お休み等で使っていない場合は、先ほどのプレートをひっくり返すと、
ご自由にお使いください、の案内が出るようになっています。
固定席でも、自分が使わないときは「どうぞどうぞ」にしておくことで、フリーアドレスの席と同じように誰もが使える席になるというわけです。
簡単にできる、ユニークなアイデアですね!
執務スペースで使われていた椅子は、オカムラのシルフィー (okamura Sylphy)でした。オレンジとライムグリーンの2色。フレームもホワイトで明るいですね。
グリーンの通路やパーテーションの色、ソファ席のクッションの色などともマッチしています。グリーンはウシオ電機のコーポレートカラーです。
移転前の課題だった「部門間コミュニケーション」を促進するために、随所に打ち合わせ可能なエリアが設けられています。ファミレス席もそのひとつ。予約なしで気軽に使えます。オカムラのマッフル (okamura muffle)。
8人くらいまで入れそうな大き目のファミレス席です。部門ミーティング、チームミーティングなどにも使えそうですね。
こちらは窓際に設けられた集中席ブース。
座ると視線を遮る、ソフトなパーテーションで区切られています。これなら集中できそうですね。
集中席ブースは壁側にも設けられていました。
こちらの裏が座席になっています。
回り込むと、
このように集中席が並びます。
壁際はキャビネットや個人ロッカーに隣接し、人も行き来する場所ですが、執務エリアとは通路もはさんでいるので、十分集中して作業ができそうです。
パーテーションの高さもちょうどいいので、誰かが使っているというのも、周囲からわかります。
こちらも、ちょっと打合せできるテーブル。執務エリアのあちこちにおかれていました。どこもモニターが設置されています。
打ち合わせテーブルは執務席の横に持ってきたりすることもできます。
フレキシブルで使い勝手がよさそうですね。
テーブルはつなげたり離したり自在にレイアウト可能。
人数にあわせて簡単に好きな形にできます。
グリーンの通路を進んでいくと、コラボレーションのための多目的ハブエリアに着きます。
執務フロアの中心部に設けられているのが、多目的ハブエリアとユーティリティエリアです。
こちらがハブエリア。
やはりレイアウトの自由度が高いテーブルと椅子が置かれています。
エリアはキャビネットで区切られており、キャビネットの上に天板がついたハイテーブルは、クイックミーティングスペースとしても使われています。
立ち会議で、ちょっと打合せするのに便利な空間です。収納兼ミーティングスペースなので効率が良いですね!
こちらもユーティリティエリア。複合機などがありました。
こちらも収納を兼ねたテーブルでハイカウンター席になっています。
こちらは、ゴミ箱も。文具もそろっています。
飲料コーナーもあります。
ユーティリティエリアにはお茶やコーヒー、お菓子などが用意されていました。
先ほど紹介した、収納を兼ねるクイックミーティングスペースが周囲を囲む形で、フロアの中心にハブエリアが作られています。
このハブエリアにはプロジェクタースクリーンなども設置されており、全体を使って、昼休みには、立ち見自由、飛び入り参加歓迎の勉強会が開かれているそうです。左右のキャビネット越しに立ち見をする人でいっぱいになるほどの大人気とのこと。
ハブエリアで開かれた勉強会の様子 (画像: 同社提供) (※)
こちらは上席エリア。執行役員の皆さんがこのエリアに集中しているとのこと。
従来はそれぞれの部門の島に属して座っていましたが、上席が集まって座ることによって、部門間のコミュニケーションがよくなったそうです。
カウンセリングルームです。
執務エリアから少し離れる形で、カウンセリングルームが設けられていました。
1on1ミーティングなどに用いられています。
こちらは社内会議室。最初にご紹介した会議室のある17階まで降りなくても、こちらで会議可能です。
この部屋にはオープンな雰囲気のカンファレンスチェアーが置かれていました。
会議室には、会議ルールが掲示されていました。
ワークスタイル変革プロジェクトチームには、会議全般を担当する会議革新分科会があり、会議時間やファシリテーションをはじめ、生産性を上げるための様々なルールを提案しています。
執務フロア内にはカフェテリアがあり、ちょっと休憩して気分を変えたりすることができます。
ソファ席。奥にはドリンクやお菓子コーナーも。
カウンター席もあり、外の景色を見ながら休憩や、仕事をすることも可能。
ハブエリアにあった、立ちミーティングができる収納兼テーブルとなるキャビネットは、入り口付近にも置かれていました。
個人ロッカー。帰る時に、こちらにノートパソコンを含め私物を収納、出社時にここから取り出して座席に向かいます。
以上、ウシオ電機株式会社のオフィスを紹介しました。
光あふれる17階のおもてなしエリア、自由に働く場所を選ぶことができ、気軽にコミュニケーションがとれる働きやすそうな執務エリアでした。新事業を創出するイノベーティブな同社にふさわしい環境だと感じました。
こういったオフィスを実現するには、ペーパーレス化やIT導入といった施策はもちろん、それまでの働き方を総点検した上で理想とするワークスタイルを明確にすることや、それを社員全員で維持発展させていくモチベーションなどが必要になります。
移転を機にワークスタイルの変革に取り組んだプロジェクトチームの皆さんに、別記事でインタビューし、プロジェクトが何を目指し、どのように推進されていったのかを伺いました。あわせてお読みください。
ウシオ電機の働き方改革ビフォーアフター ~ 変革で目指したコトと、その後に定着した新しい働き方 (オフィス訪問[2])
光応用製品から産業機械、様々な業界かつグローバルに事業展開する「光のプロフェッショナル集団」。世界シェアNo.1の「マーケット力」を誇り、高精細プリント基板製造用投影露光装置、液晶パネル製造用ランプ、シネマプロジェクタ用ランプなど、独自の光技術によって世界シェアNo.1製品を生み出している。ウシオグループスローガンは「未来は光でおもしろくなる」。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2019年8月26日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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