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魅惑のオフィス訪問

ウシオ電機の働き方改革ビフォーアフター ~ 変革で目指したコトと、その後に定着した新しい働き方 (オフィス訪問[2])

左から、瀧澤 秀明氏(経理財務部 部長)、益田秀之氏(事業統括本部 システムソリューション事業部 バイオメディカル事業部門新規開発グループ リーダー)、福満薫氏(業務監査室 )、西畑佐智子氏(経営統括本部 経営企画部)

左から、瀧澤 秀明氏(経理財務部 部長)、益田秀之氏(事業統括本部 システムソリューション事業部 バイオメディカル事業部門新規開発グループ リーダー)、福満薫氏(業務監査室 )、西畑佐智子氏(経営統括本部 経営企画部)



こちらは「産業用ランプ光源で世界首位! ウシオ電機株式会社の本社オフィスに行ってきました! (オフィス訪問[1])」の続きです。



前回の記事で、ウシオ電機株式会社のオフィスを紹介しました。


このオフィスが実現するまでには、ワークスタイルの変革という方向性を打ち出したトップの強い意思、現場で取り組んだプロジェクトチームの皆さんの努力、そして社員全員の協力がありました。


最終的には60名弱にも及んだというプロジェクトチームのコアとしてプロジェクトを牽引した各部門メンバーにお話を伺いました。




■60名弱で2,000個の課題を集めたプロジェクトチーム


――オフィス移転のきっかけを教えてください。


西畑 2014年秋に、40年間入居していた朝日生命大手町ビルが2022年に取り壊されるという計画が発表されました。地下のお店なども順次閉店して利便性が下がっていく中、ご縁あって、現在のオフィスの紹介を受けました。利便性もよいし、規模感も同じくらいということで移転が決定しました。


この際、単なる引っ越しではなく、ワークスタイルそのものを変革し、移転先オフィスはそれを実現する場所として準備するようにという方針がトップから示されました。働き方と働く場の双方を変革していくことがワークスタイルの変革とされました。働き方の変革とは意識や行動様式の変革であり、働く場の変革とはそれを支援するインフラや制度の変革ということです。


これを具体化するためにプロジェクトチームで取り組むことになりました。



西畑佐智子氏(経営統括本部 経営企画部)

西畑佐智子氏(経営統括本部 経営企画部)



――プロジェクトメンバーはどのようにして集めたのですか?


西畑 当初は各部門から12名が集まり、当社の強みや弱みを出していき、何のために働き方を変えなければいけないのかという目的を明確化し、そこから目標に落とし込み、さらに打ち手へ落とし込んでいきました。



――最終的にはかなり大きな組織になったそうですが。


福満 全社向けの情報共有会を7月に行って参加を呼びかけ、手を挙げたメンバーに施策アイデアを追加してもらって、施策検討会を行いました。その施策を実行する段階でさらにメンバーを増やし、最終的には60名弱になりました。



福満薫氏(業務監査室)

福満薫氏(業務監査室)



――60名弱で出したアイデアは、かなり厖大なものだったそうですね。


福満 2,000個ほどのアイデアが出ました。それを、移転前に絶対やること、移転後に時間をかけてじっくりやることという優先順位をつけ、移転前にやることを7つの分科会に課題を振り分けて実行していきました。


具体的には、このショールームを担当するおもてなし分科会、お客様との関係を深める顧客接点・提案力強化分科会、生産性の高い会議を目指す会議革新分科会、社員同士のコミュニケーションを活性化するワイガヤコミュニケーション分科会、文書削減と電子化を進めるペーパーレス・情報活用分科会、仕事の仕方を見直すワークアウト分科会、社員のモチベーションと能力を最大化するマネジメントスタイル革新分科会といったものです。



――2,000個の課題を集めるのにどのくらいの時間をかけましたか。


益田 時間としてはどれくらいですかね。3ヶ月とか。


瀧澤 10回くらい集まりましたっけ。


益田 フレームワークに沿って、決められたお題に対してポストイットを貼っていったら、いつのまにかそんな数になっていました。もちろん粗いものも細かいものもあります。



益田秀之氏(事業統括本部 システムソリューション事業部 バイオメディカル事業部門新規開発グループ リーダー)

益田秀之氏(事業統括本部 システムソリューション事業部 バイオメディカル事業部門新規開発グループ リーダー)



――最終的に絞り込んで、優先度が高いものはいくつぐらいになりましたか。


福満 重要度が高く、難易度の低いものを抜き出し、本当にやりたいことをファーストターゲットとして切り分けたら200個ほどになりました。ロングスコープは難易度が高く重要度も高いもので、本質的な課題、時間をかけて取り組みたいことですね。



アイデアのマッピング

(ヒアリング内容をまとめ「みんなの仕事場」で作成)

(ヒアリング内容をまとめ「みんなの仕事場」で作成)



――ロングスコープの項目は、移転後に取り組んでいくことですね。


福満 はい、より本質的な課題なので、時間をかけてやることになりました。



――社員向けの説明会などは。


西畑 全社的な説明会としては、先ほど話した情報共有会と、移転前の移転説明会の2回ですが、社内報WEBで定期的に発信したり、ポスターを貼って啓蒙したりしました。オーナーに向けてもプロジェクトの活動報告会を半期に1回行っていたのですが、それをテレビ会議でつないで誰でも見られるようにしたりという発信も行っていました。



――プロジェクトを進める上で、大変だったことは。


西畑 喫煙所や女性用更衣室など、前はあったものがなくなるということに理解を得るのに苦労しました。そもそも当社は制服がないので更衣室は不要で、特定用途のものは廃止しました。そういったものは多目的エリアやコミュニケーションスペースに置き換わると説明しましたが、当初はなぜなくすのかという声が大きく、少し苦労しました。


ペーパーレス化にも苦労しました。結果的に7割削減できましたが、捨てられるものと、スキャンしておけばいいものを各部門で分類してもらうのが大変で、みなさん最初は尻込みしていました。



■ショールームとホワイエが外から人を呼び込む


――ショールームの見せ方は、どのように決めていったのですか。


山田 ショールームの担当は広報でしたが、とくに苦労はありませんでした。数年前に40周年を記念して作った冊子を再現するという構想があっていたので、良いタイミングで実現できました。



同社ショールーム

同社ショールーム



――社外向けだけではなく、社内の知識共有の意味もある場所なのですね。


西畑 トップからは、半分は社内の教育が目的と言われました。ソリューション型の提案ができるように、自分が担当している製品以外についてもちゃんと知ろうということです。



ショールームの展示の数々

ショールームの展示の数々



――最終製品ではないので、一般ユーザーにとってもどのようなものかはわかりにくいですね。


山田 狙いとしては、製品、プロダクトを見せるのではなく、技術やサービスを見せようと考え、ランプメーカーとしてではなく、光のメーカーとしてプロモートし、光そのものを見せていく構成にしました。



――事業ドメインである「光」に立脚した見せ方ということですね。


山田 そうです。ウシオ設立時のコンセプトをベースに、光そのものを知っていただくために、「光をあかりとして、エネルギーとして。」というテーマを設定し、ウシオグループの事業領域やソリューション、可能性の幅広さを感じていただくことを目指しています。マーケットや技術の切り分け、それを支える要素技術の収集なども考えて構成しています。若干の苦労はありましたが、ゆくゆく変更になっても作り変えられるようなハード面の工夫もしています。


リクルート面でも、人事からは学生さんに好評で、辞退率なども低下したと聞いています。これは笑い話ですが、足を踏み入れてウシオ電機ではないと勘違いして帰ろうとした投資家の方がいたそうです。お客様をお招きして何かしたり、社外の方が来られる機会は徐々に増えています。


西畑 前はお客様をお呼びできる場所がなく、工場にお越しいただいていたのですが、オフィスにお呼びできるようになったことは大きいです。



「Akari Zone (あかりゾーン)」ショールームに続く通路も展示スペースになっている。

「Akari Zone (あかりゾーン)」ショールームに続く通路も展示スペースになっている。



――社外の人を呼んでイベントなども開かれているそうですね。


山田 アジアやアフリカなどの貧困地域で移動映画館をやっているNPO法人さんと、社外の方も招いた映画上映会を定期的に開いているんです。移動映画館の告知と併せて当社の映画関連事業も周知できる機会にもなります。ホワイエでは、日本酒の利き酒会など、社内向けのイベントも開きます。



ショールームの大型デジタルシネマプロジェクター

ショールームの大型デジタルシネマプロジェクター



益田 そういったイベントは、コミュニケーション分科会が中心になって運営しています。部門間の横の連携を強化して新しい価値を生み出していくためには、まず隣の人が何をやっているかを知らなければなりません。そこで定期的に利き酒会や映画上映会などのイベントを開いています。



ホワイエ

ホワイエ



社内イベント 利き酒会の様子  (画像: 同社提供) (※)

社内イベント 利き酒会の様子  (画像: 同社提供) (※)



福満 ユニークなものとしては、一般社団法人日本ふんどし協会様に「ベストフンドシストアワード2018」表彰の場として提供し、2018年度の表彰でテレビ局や新聞記者にも来ていただいて、取材していただきました。弊社製品を紹介させていただく機会にもなりました。


西畑 ホワイエは、お客様を招いて懇談するという使い方もされていますし、社員同士でも使えます。もともと、ちょっと休憩することで生産性が上がるという目的で設えたものですが、移転直前にも旧オフィスで試験導入していました。移転プロジェクトへの参加感を高めるために、会議室の名前投票や、椅子の座り心地を試す椅子選定会など投票所としても役に立ちました。



■会議からワークスタイルを変える


――会議革新分科会は、どのようなことに取り組んだのですか。


益田 そもそも会議室自体が足りていなかったのですが、会議が長過ぎるなど進め方にも改善の余地がありました。


西畑 予約したのに使われていないなど、使い方にも非効率な面がありました。そこで、会議の仕方から見直そうということになったわけです。


益田 私はこの分科会のリーダーを務めていたのですが、会議室の名前を決めるところから始めました。移転前は応接室と会議室がどちらもアルファベットでしたのでわかりづらく、かつ会議室が足りないために応接室でも会議をしているため、お客様を迎えるキャパシティが不足していました。今では応接室は色の名前、会議室はアルファベットにして、直感的にわかるようにしました。



益田秀之氏(事業統括本部 システムソリューション事業部 バイオメディカル事業部門新規開発グループ リーダー)



――会議のルールなども改革していったのですね。


益田 会議の創造性を上げること、生産性を上げることを目標に活動を進めました。生産性は、分母を時間、分子を効果として定義しました。分子(効果)を上げることは直ぐには難しいと考え、まずは分母(時間)を少なくすることで生産性の向上につなげようと考えました。そこで会議時間の短縮化にも取り組んだわけです。創造性については、会議の事前準備、流れ、アウトプットということを規定したり、議論を活性化して新しいアイデアが生まれるように、ファシリテーターを設置して教育したりということをしています。


ただ、会議は90分以内と決めたりしても維持することはなかなか難しく、気づくとまた会議が長くなっていたりします。


西畑 繰り返し啓蒙活動を続けていく必要性は感じますね。でも、オープンミーティングエリアが増えたことで、社員はうまく使い分けるようになり、会議室の無駄な利用は減っていると思います。



会議室に掲示されている、会議ルール7か条

会議室に掲示されている、会議ルール7か条



■オフィスに新しい働き方が生まれた


――執務フロアのコンセプトはどういうものですか。


西畑 「生産性の向上と新たな価値を生み出すオフィス」「クローズな空間から、人や情報が行き交うオープンな空間へ」という2つのキーワードがありました。


移転前の課題として、縦割りで部門間のコミュニケーションが活発ではないということがありました。営業部門と本社部門もフロアが分かれていたので、歩いて行き来してコミュニケーションをとらなくてはならない状況でした。


福満 そこで個人の物を減らし、パブリックスペースを増やすことにしました。席が人数分ないことになったので、説明会では衝撃を受けた人もいたようです。座れなかったらどうするのかという声もありました。


西畑 営業社員が多く、その在籍率から7割ほどあればいいことがわかっていました。だから在籍数の7割しか席はありませんが、ミーティング席なども合わせれば人数の約1.5倍分の席があることになります。どこかには座れますという説明をした後は大きな混乱はありませんでした。移転後の見直しもあり、今では総務や財務などが固定席になって落ち着いています。



フロアの中央にあるハブエリア

フロアの中央にあるハブエリア



執務エリア。グリーンの道がハブエリアに繋がる。

執務エリア。グリーンの道がハブエリアに繋がる。



――位置が決まっていたほうがいい方は固定席ということですか?


西畑 仕事の都合上、決まったところにいてほしい方などですね。


瀧澤 仕事に必要な端末などの場所が決まっており、近くにいないと仕事がしづらいという方も固定席になっています。ただし固定席でも私物は置かないというルールです。



――固定席で「使っています」というサインを出すのは、ちょっとユニークなアイデアですね。


西畑 固定席の方は申請すると、あのプレートをもらえます。明日は休みだというときにはプレートのサインを裏返して「どうぞどうぞ」にして、誰でも座っていいようにして帰るという運用です。


西畑佐智子氏(経営統括本部 経営企画部)



――固定席でも、人がいないときには自由に使えるわけですね。


益田 私は川崎の所属に異動したのですが、外から来る人の目線で見ると、固定席ばかりだと事業所間の壁のようなものを感じます。フリーアドレスだと壁を感じることがなく、ここにいたときと同じように、その辺に座って仕事できる空気がありますね。


西畑 よくやり取りする相手の隣などにも気軽に座れる。出張者にも開かれているというか、入りやすい雰囲気かもしれないですね。出張者は結構多いんです。



固定席 使用中のプレート

固定席 使用中のプレート



プレートを裏返すと「どうぞ、どうぞ」に変わる

プレートを裏返すと「どうぞ、どうぞ」に変わる



――働き方は変わりましたか?


益田 オープンスペースを用意したことで、移転前の階が離れていた状況に比べて、横のつながりが強化されました。資料を作るために集中ブースに行ったり、会議室に入るまでもない軽い打ち合わせをする際にファミレス席を利用したり。ファミレス席をはじめ、どこもオープンミーティングエリアですから、予約なしに使えるのがとても便利です。ちょっと打ち合わせしようかと気軽に使えます。


カフェテリアもすごく活用されていて、仕事中でも休憩のときでもコーヒーを飲みに自由に行き来して、他の人と出会ってちょっと立ちミーティングしたりという様子が見られます。


ハブエリアでは、プレゼンなどもできるような形になっており、毎週定例で社内の告知などに利用されています。



執務フロアにあるカフェテリア

執務フロアにあるカフェテリア



――フリーアドレスによるマネジメントスタイルの変化は。


瀧澤 部長や部門長は一般の執務エリアの中に混じっていますが、執行役員以上の席が集まっている形ですから、部下とのコミュニケーションがとりづらい面もあるようです。そのため、人によってはあえてフリーのエリアに入って座っている上席もいます。ある意味、上司も試されているというか。見えなくても、見ていなくてもマネジメントは必要ですから。それに、移転前はそれぞれの島にいたために、島が離れているとあまり話す機会もない状況でしたので、今は横のコミュニケーションが増えることになりました。営業部門の場合はそれほど顔を合わせる仕事の仕方でもなかったので、大きく変わったというほどでもありません。それよりは上司同士の横のつながりが密になったことのほうが変化としては大きいと思います。



瀧澤秀明氏(経理財務部長)

瀧澤秀明氏(経理財務部長)



――想定していなかった使われ方などもありますか?


福満 ハブエリアに、部門をまたぐ社員が集まって作業をしていることがあります。たとえば各部門の広報に関連する人たちというような。似たような仕事をしているので、近くに座って情報をやり取りすることで仕事がスムーズに捗るという声を聞きました。



ハブエリアの様子

ハブエリアの様子



■移転後も活動しつづける「オフィス活性化委員会」


――移転後の混乱はありましたか。


益田 心配したほどの混乱はなく、スムーズでしたね。心配していたのはフリーアドレス関連、あとは物の置き場などでした。フリーアドレス関連としては、外線電話の取り次ぎなども心配だったのですが、スムーズに切り替えられました。



――分科会の活動はまだ続いているのですか?


益田 7つの分科会は今ではひとつに集約され、東京オフィス活性化委員会という名前になりました。


たとえば、ハブエリアで行う定期的なプレゼンテーションのひとつに「イントロdeウシオ」というものがあり、そういったものを運営しています。これは他の社員や部署が何をしているかを浸透させる目的で、いろいろな部署の人が自部署の製品や技術を紹介する場です。休み時間の直後に行うのですが、発表のときはほとんど立ち見になるほど人が集まります。



ハブエリアで行われる定期的なプレゼンテーション「イントロdeウシオ」の様子   (画像: 同社提供) (※)

ハブエリアで行われる定期的なプレゼンテーション「イントロdeウシオ」の様子 (画像: 同社提供) (※)



あとは、経営者と現場の連携をはかる「事業部長が語る会」を主催したり、入社して間もない人も積極的にコミュニケーションできるような場を設定したりしています。



「事業部長が語る会」の様子 (画像: 同社提供) (※)

「事業部長が語る会」の様子 (画像: 同社提供) (※)



西畑 2部制で、第2部は社外の居酒屋などでお酒も入ります。



――ハブエリアの使われ方はかなり多様ですね。


福満 「会計の会」のような勉強会も開かれています。勉強会はそれまで会議室にこもってやっていたのですが、今では昼休みにオープンにハブエリアで行われていて、立ち見や飛び入り参加も自由です。就業時間中だと入りにくく、定時後だと短時間勤務の人が参加できなくなるので、昼休みにやってみたら、ハブエリアが満員になるほどの人が集まってきています。


澁田 大人気で、私は前回、席が埋まって入れませんでした。


福満 勉強会に興味がある人を見つけられるし、勉強会の活動そのものも可視化されるので、面白い使い方だなと思います。


益田 東京オフィス活性化委員会はそういった活動を行っています。


福満 移転を機に、短期間でできる施策はほとんど実現し、残るはロングスコープの課題ばかりになりました。オフィスのスペースは完成したし、運用の習慣もついてきたので、移転プロジェクトとしては解散してもいいかなという話になったのですが、活動体をなくしてしまうと元に戻ってしまうのではないかという心配がありましたので、定期的にイベントや改善提案などを出していくことになりました。それが委員会という活動体です。


移転プロジェクトはトップダウンで進めましたが、今の委員会は非常にボトムアップな活動です。会社やオフィスをよくしたい人が集まって、社員同士の交流を深めたり、互いに理解しあうためにはどんなイベントがあるといいのか、みんなが知りたいことは何か、そういった打ち合わせを重ねながら活動しています。



■今後の課題は、成果に結びつけること


――当初の課題の多くは解決されたのでしょうか。


西畑 変革の成果を可視化するため、継続的にアンケートをとっていますが、移転前の第1回目、移転直後の第2回目、移転1年後の第3回と回を追うごとに、実現度は高くなっており、一定の効果は出ていると見ています。



西畑佐智子氏(経営統括本部 経営企画部)




アンケート結果

同社社内資料より (※)

同社社内資料より (※)



――今の課題は何でしょうか。


益田 まず、移転を機に始めたことを継続させ、元に戻らないようにすることです。また、プロジェクト発足時の目標は「世界で勝てる新たな強みを持つウシオ電機を作る」ということで、仕組みは作れたわけですので、今度は成果につなげいくことが課題です。



――コミュニケーションが活発になり、イノベーションが生まれる素地はできあがった。では実際にどうやって成果を上げていくかということですね。


益田 これが当初示された戦略マップで、ワークスタイル変革の目的は「世界で勝てる新たな強みを持つウシオ電機」とされています。



同社社内資料より「ワークスタイル変革活動について」中の「戦略マップの上位階層(目的・目標)」(※)

同社社内資料より「ワークスタイル変革活動について」中の「戦略マップの上位階層(目的・目標)」(※)



それを実現するために新技術・新事業の創出、既存事業の競争力と基盤の強化ということがあり、そのために目指す組織と変革目標が決められています。



西畑 何のためにやっているのかということをつねに忘れず、この戦略マップに立ち返ることを心がけて活動しています。



益田 プロジェクトの目標、目的を達成できたかと振り返ると、まだ結果は出ていません。だから活動を継続して、結果を出していきたいと思います。



■ウシオ電機のカルチャーとは


――ウシオ電機の強みを最初に整理されたということでしたが、どのようなカルチャーがあるのでしょうか。


西畑 本社社員全員とプロジェクトメンバーのアンケート結果から、組織力風土診断を行ったところ、ちょっと面白い傾向が出ました。ファミリー型組織、コントロール型組織、クリエイター型、ベストプラクティス型という4つのタイプがあるのですが、これを見るとコントロール型組織寄りで、決められた手順や手続きを重視し、言われたことをしっかりやるという特徴があるようです。


これは強みでもあり、弱みでもあります。理想としては、創造性の部分をもっと高めたいということでした。チャレンジ精神やイノベーションを伸ばす必要があるようです。


益田 顧客から品質と納期とコストの要求仕様が出たところからスタートする仕事が多いので、「こなす」「達成する」ということが仕事の目標になりがちです。しかし、今は自ら商品を企画していく事業に移り変わりつつあります。顧客を創造して自分たちで商品を企画する部分に力を入れようとしています。



――コミュニケーションが促進され、ハブスペースで人が集まってくるようになった社員の変化は、それに着実に近づいているように思います。


益田 もちろん、実際の市場や会社の方向性はわれわれが決められるものではありませんが、組織によって商品が成り立っていることは確かですので、組織と人が変化していくことには大きな意味があると思っています。



西畑佐智子氏(経営統括本部 経営企画部)、益田秀之氏(事業統括本部 システムソリューション事業部 バイオメディカル事業部門新規開発グループ リーダー)







2,000もの施策をスクリーニングしていった粘り強さにも驚きましたが、印象的だったのは、移転後も現場を良くしていこうと努力を続ける皆さん一人ひとりの、地道で実直な姿勢でした。横の部門間コミュニケーションばかりでなく、縦のつながりも重視し、社員全員、お互いの顔がわかるオフィスがハードウェアとして実現したことにより、生産性の向上はもちろん、シナジー効果によって新たなイノベーションが生まれつつあることが予感させられました。













取材先

ウシオ電機株式会社newwindow


光応用製品から産業機械、様々な業界かつグローバルに事業展開する「光のプロフェッショナル集団」。世界シェアNo.1の「マーケット力」を誇り、高精細プリント基板製造用投影露光装置、液晶パネル製造用ランプ、シネマプロジェクタ用ランプなど、独自の光技術によって世界シェアNo.1製品を生み出している。ウシオグループスローガンは「未来は光でおもしろくなる」。





編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
取材日:2019年8月26日

         

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