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多発性硬化症を始め難病治療薬を創薬するバイオテクノロジー企業のパイオニア バイオジェン・ジャパン株式会社のオフィスづくり【前編】 (オフィス訪問[1])

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今回の取材は、世界的なバイオテクノロジー企業、バイオジェン社(Biogen, Inc.)の日本法人、バイオジェン・ジャパン株式会社のオフィスを訪問してきた。

※シリーズ記事 ほかに「多発性硬化症を始め難病治療薬を創薬するバイオテクノロジー企業のパイオニア バイオジェン・ジャパン株式会社のオフィスづくり【後編】 (オフィス訪問[2])」「誰もがふらりと来て話ができるフルオープンな役員室 ~これからの時代の役員室のありかた(バイオジェン・ジャパン株式会社 オフィス訪問[3])」「究極の短時間ミーティング環境、アメフトのハドルが由来「ハドルルーム」とは? (バイオジェン・ジャパン株式会社 オフィス訪問[4])



今回の取材は、世界的なバイオテクノロジー企業、バイオジェン社(Biogen, Inc.)の日本法人、バイオジェン・ジャパン株式会社のオフィスを訪問してきた。


バイオジェン(Biogen, Inc.)社は、現在、本社をアメリカ、マサチューセッツ州に置く多国籍企業だ。1978年スイス・ジュネーブにて創業し、遺伝子工学により、多発性硬化症を始めとした神経疾患、自己免疫疾患、希少疾患の治療法開発に重点を置いて難病治療薬を創薬している世界的トップクラスのバイオテクノロジー企業になる。その創業者のうち、2人もノーベル賞を受賞(*1)するなど、すごい会社なのである。


*1) バイオジェン社の創業者 ウォルター・ギルバート氏(1980年ノーベル化学賞)とフィリップ・シャープ氏(1993年ノーベル生理学・医学賞)がノーベル賞を受賞



同社は、2015年6月に、東京日本橋一丁目 コレド日本橋に移転し、第29回 日経ニューオフィス賞のニューオフィス推進賞<クリエイティブ・オフィス賞>を受賞している(*2)


*2) 第29回日経ニューオフィス賞 ニューオフィス推進賞<クリエイティブ・オフィス賞> バイオジェン・ジャパン 東京オフィスnewwindow



さあ、いったいどんなオフィスなのか見て行こう。


オフィスづくりに関してプロジェクトを推進された、同社執行役員 本部長 医薬品生産&技術本部 押川 昌一郎 氏、同社医薬品生産&技術本部 セキュリティ ファシリティ EHS+S総務 マネージャー 新井 良典 氏、同社コーポレートアフェアーズ本部 広報部長 三井 貴子 氏 の3氏に話を伺った。伺った話を織り交ぜながら同社のオフィスを案内していきたい。



■最寄駅は「日本橋駅」

同社のオフィスは、東京メトロ東西線・銀座線「日本橋駅」に直結しているコレド日本橋に入居している。雨の日にも濡れずにオフィスに到着できるのが魅力だ。ちなみに、東京の表玄関としてのJR東京駅へも徒歩わずか数分の距離にあり、国内各地へのアクセスも容易で、整備された周辺環境とともに、ビジネスに最適な立地となっている。



■エレベーターホールから受付へ通じる廊下

では、さっそくコレド日本橋の14Fに上がる。

では、さっそくコレド日本橋の14Fに上がる。


エレベーターホールからエントランスまでは50mの廊下が続く。この廊下の壁には、「ブランディングウォール」と同社では呼んでおり、同社の取り組みや理念がディスプレイされていて、歩きながら見て楽しめる。


.Q. かなり長い廊下ですが、どのような経緯から作られたのですか?


通常のオフィスでは、エレベーターホールから一番近いところに受付を作るのが一般的ですが、オフィスの中を広く1フロアにしたいというのがありまして、受付をオフィスの端に設定しています。


こちらのオフィスビルは、縦に約100mと長いつくりになっていまして、エレベーターは建物のほぼ中央に位置しているため、エレベーターホール近くに受付を作ると、オフィスの執務スペースが中央で分断されてしまうのです。オフィスを移転する際に、従来、執務スペースが2フロアに分断されていたものを1フロア化してコミュニケーションを良くしたいということが必須条件であったことから、このような形を取りました。


そのため、エレベーターホールから受付までの廊下が50mほどの距離がありますので、ビル側の許可を得て、お客様が受付に歩いてきていただく間に、我々バイオジェンはどういった取り組みをしているのかということを紹介する、PRの場として使わせていただいております。


(同社医薬品生産&技術本部 セキュリティ ファシリティ EHS+S総務 マネージャー 新井 良典 氏)



■ブランディングウォールを抜けて受付へ

ブランディングウォールを眺めて歩いていると、受付に到着。

ブランディングウォールを眺めて歩いていると、受付に到着。



■受付

こちらが同社受付。

こちらが同社受付。
エントランスゾーンは、白くクリーンなイメージで仕上げられており、さすがバイオテクノロジー企業らしい清潔感溢れる受付だ。


ちなみに、左上に見える「バイオベラティブ (Bioverativ)」のロゴサインは、今年2017年2月にバイオジェン社から分社した、バイオベラティブ・ジャパン株式会社のもの。こちらの受付は、バイオベラティブ社の受付も兼ねている。



■ウェイティングエリア

こちらは、受付のあと、ウェイティング用のロビー。

こちらは、受付のあと、ウェイティング用のロビー。ソファーやカウンター席が用意されている。


こちらのカウンターに並んでいるスツールは、イタリア・クリスタリア社(KRISTALIA)のBCNカウンタースツール。

こちらのカウンターに並んでいるスツールは、イタリア・クリスタリア社(KRISTALIA)のBCNカウンタースツール。



■ビジョナリーサイエンス

ロビーの奥には、同社が「ビジョナリーサイエンス」と呼ぶバイオジェン社を創り、発展させてきたリーダーたちの写真が飾られている。

ロビーの奥には、同社が「ビジョナリーサイエンス」と呼ぶバイオジェン社を創り、発展させてきたリーダーたちの写真が飾られている。これは人物で見るバイオジェン社の歴史絵巻と言える。



■来客用会議室ゾーン

受付近くには、来客用会議室が5つ。

受付近くには、来客用会議室が5つ。日本の各地の都市の名前がついている。


こちらの会議室は、「名古屋(NAGOYA)」。

こちらの会議室は、「名古屋(NAGOYA)」。会議室の管理システムはスチールケース社の専用タブレット型。



では、オフィスの中へ入っていこう。


エントランスからオフィスに入ると、最初に、大きなカフェテリアに行き当たる。 こちらは「サテライトカフェ」という名前で、同社の中で一番大きなカフェスペースとなっている。



■サテライトカフェ全景

カフェテリアの空間は、テーブル席、ソファー席、バーカウンター、ハイテーブルなど、いろいろなタイプの座席が用意されている。

カフェテリアの空間は、テーブル席、ソファー席、バーカウンター、ハイテーブルなど、いろいろなタイプの座席が用意されている。


お昼の休憩に使ったりするだけでなく、大型の投影スクリーンを2枚おろすことができるので、全社会議やセミナーなども開催できるよう、多目的に作られている。


自由に使えるスペースなので、コーヒーを飲んでくつろいだり、独りで集中して仕事をしている人もいたり、夜はバーがオープンするなど、時間帯によって雰囲気が変わる空間となっている。


「サテライトカフェ」の名前の由来は、こちらのオフィスビルが縦に長い構造になっていて、もっとも景色の良いフロア端に位置しており、比較的、執務席から離れていることから、「サテライト」と名付けられたとのこと。



こちらのスペースを順に見ていくと、


明るく景色の良い窓際に、モニター付きのハイテーブルで打ち合わせもできるエリアが置かれている。

明るく景色の良い窓際に、モニター付きのハイテーブルで打ち合わせもできるエリアが置かれている。奥に見えるのはバーカウンター。


こちらがバーカウンター。

こちらがバーカウンター。
日中はこちらのカウンターで立って仕事をしたり、カウンターでミーティングなどに使われている。


こちらは、「SHO'S BAR」と名付けられている。

こちらは、「SHO'S BAR」と名付けられている。
夕方5時半以降は、バーカウンターとして社内バーになって、社員のコミュニケーションの場所に変わる。


カウンター天板は、一般的な細長い形ではなく、異形天板になっていて、大勢の社員が周りを囲んで集まれるように作られている。

カウンター天板は、一般的な細長い形ではなく、異形天板になっていて、大勢の社員が周りを囲んで集まれるように作られている。



こちらの執務スペースづくりでは、仕事のオン(ON)とオフ(OFF)を意識した空間づくりがなされている。デスクのある執務スペースはオンであり、こちらの「サテライトカフェ」は、基本的にオフのスペースとして、オンとオフが切り替えられるようにしたとのことだ。


執務デスクで集中してしっかり仕事をして、こちらのカフェではリラックスしてオフを楽しむ。そのために、バーカウンターやソファースペースなど休憩できるエリアがあり、遊び心がある空間が作られている。



そのため、こんなラタン製のエッグチェアもバーカウンター近くにある。

景色の良いカフェテリア、素敵なバーカウンター、遊び心のあるエッグチェアなど、特徴的なカフェ空間が作られている。


景色の良いカフェテリア、素敵なバーカウンター、遊び心のあるエッグチェアなど、特徴的なカフェ空間が作られている。この点について、オフィスづくりに関してプロジェクトを推進された、同社執行役員 本部長 医薬品生産&技術本部 押川 昌一郎氏に話を聞いた。バーの名前SHOは氏の名前から取られたとのこと。



カフェテリアは社員が共有で使えるスペースなので、一番景色の良い場所にしました。また、ここは夜景がきれいなんですよ。それで、夜景が一番きれいに見えるフロアの先端の場所にバーカウンターを作って、社員みんなが仕事後に楽しめる場所を作りました。


エッグチェアも、私が設置したんですが、仕事をしていると、ぼーっとする瞬間が必要だと思うんですよ。仕事のオンオフという意味では、仕事中は、ずっとオンで、集中して仕事をしていますから、ここで外を眺めながら、音楽を聴きながら、ちょっとぼーっとする瞬間を、オープンなエリアでできる場所がいいなと作ったんですよね。


(押川氏)



サテライトカフェの奥から見た全景。広々としている。

サテライトカフェの奥から見た全景。広々としている。


こちらにはソファエリア。

こちらにはソファエリア。


テーブル席も数多い。

テーブル席も数多い。


キッチンエリア。

キッチンエリア。


サテライトカフェの端にあって、こちらでコーヒーを入れたりできるカウンターになっている。電子レンジや冷蔵庫もここにある。中央のカウンターでコーヒー片手に話し込むことも。



■オフィスにおけるカフェスペースの役割

同社のオフィスには、「サテライトカフェ」以外にも、いくつかカフェスペースが作られている。「サテライトカフェ」が、座席の位置によっては執務スペースからかなり歩かなければいけないことを配慮して、執務スペース内にも、いくつか小さなカフェスペースを設置しているとのこと。


オフィスというと仕事をする場所であり、究極的には執務スペースだけあれば良いということになるが、こうしたリラクゼーションスペースを作られた理由を、先ほどの押川氏に尋ねた。



オフィス移転にあたり、このようなカフェスペースを作った理由は、仕事をしているときに、オンオフを個人で選べるようにするということなんです。


もしカフェがないと、お弁当を自席で食べなくてはいけなくなり、コーヒーも席で飲まなくてはいけなくなる。唯一、タバコを吸う人だけが外へ吸いに行くことになります。


そうではなくて、コーヒーを飲む方も、自席で飲んでもいいし、時間があればカフェテリアまで歩いていってゆっくり飲んでもいい、というチョイスができるようにしているんです。社員個人個人の体調、仕事のスピード、効率によって自分で選んでください、という狙いなんですよ。


例えば、自席でコーヒーを飲んでほっと一息としていると、周りからは休憩しているように見えて嫌だと感じる人もいますよね。その場合は、カフェテリアに行ってゆっくり休憩しながら飲むことができますし、逆に、今日は忙しいのでコーヒーを自席で飲みながら仕事をするというチョイスもできます。


仕事の仕方、休憩の取り方を個人個人で一番良いように選んでくださいということなんですね。移転前はこうしたスペースがなかったので、移転にあたり、カフェスペースをこのように作ることで、チョイス(選択肢)を社員に与えることができたと考えています。


(押川氏)



仕事のオンオフが切り替えられるように、仕事に集中できる執務スペースと社内で休憩の取れる場所を用意し、その場所を「チョイス」できる狙いで作られたとのこと。働く人が自席に縛られるのではなく、社内でも働く場所、休む場所を自分たちで選んで自由に動けるというのは魅力的なポイントだ。



それでは以降は執務スペースの紹介に入っていきたい。



後編に続く

多発性硬化症を始め難病治療薬を創薬するバイオテクノロジー企業のパイオニア バイオジェン・ジャパン株式会社のオフィスづくり【後編】 (オフィス訪問[2])










取材先

バイオジェン・ジャパン株式会社newwindow

多発性硬化症を始め難病治療薬を創薬するバイオテクノロジー企業のパイオニア バイオジェン社(Biogen, Inc.)の日本法人。バイオジェン社は、1978年スイス・ジュネーブにて創業。現在、本社はアメリカ、マサチューセッツ州ケンブリッジにあり、神経疾患、自己免疫疾患、希少疾患の治療法開発に重点を置く世界的バイオテクノロジー企業。企業理念「Caring Deeply. Changing Lives. (深く思いやる。人生を変える。)」を掲げる。




編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
作成日:2017年6月9日




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