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リラックスと高揚感の両方を兼ね備えるエムステージのオフィスの秘密を探る【前編】~株式会社エムステージ 代表取締役 杉田 雄二 氏インタビュー~ (オフィス訪問[3])

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株式会社エムステージ 代表取締役 杉田 雄二 さん

株式会社エムステージ 代表取締役 杉田 雄二 さん


「Dr. 転職なび」を始め医師人材総合サービス事業を展開する株式会社エムステージの本社オフィス(東京 大崎)に行ってきました【後編】(オフィス訪問[2])」の続きです。


株式会社エムステージでは、2014年に移転してからもオフィスの改修を重ね、働く場所の継続的な改善に取り組むなど社員の働き方に関心の高い企業です。そこで今回は、同社代表取締役 杉田 雄二さんにオフィス改善の狙いや目指すオフィスのありかたについてお話を伺いました。


同社の社員数は、会社全体では約90名、全国11の都市に拠点があります。本記事で紹介する東京本社は436平方メートル (140坪)の広さで約40名が勤務。社員の男女比は、おおまかに女性6割に対して男性4割と女性が多い構成です。オフィスの収納家具やテーブル(机)は、本社・支社ともにスイスのインテリアメーカー USM社のハラーというシステム家具を採用しているところが特徴的です。




(インタビュー開始)

■オフィス内のゾーニングをしっかり分ける

――こちらのオフィスづくりの狙いを教えてください


――こちらのオフィスづくりの狙いを教えてください


オフィスレイアウトに関して言いますと、オフィス内のゾーニングをしっかり分けたいという狙いで作りました。オフィスの中で、業務に集中できるところ、みんなでリラックスしてしゃべれるところ、人が集まるようなところ、といった風に、オフィス内の場所ごとにそれぞれテーマを持ってゾーニングをしています。


≪同社執務エリア≫

【編集注】USMハラーシステムのテーブルに、ヴィトラ AC4チェアの組み合わせ。とてもシャープでスタイリッシュな執務空間になっている。

【編集注】USMハラーシステムのテーブルに、ヴィトラ AC4チェアの組み合わせ。とてもシャープでスタイリッシュな執務空間になっている。


≪同社リフレッシュエリア その1≫

【編集注】執務エリアに対して、華やかなイエローのUSMハラーシステム収納で仕切られたところにリフレッシュエリアがある。ロングテーブル、カフェカウンター、ソファ席、スタンディング席などがそこに設けられている。こちらはフローリング床、天井はスケルトン化、暖色系照明に、印象的なデザインのチェアが揃えられていて、執務エリアとは雰囲気が変えてあるところもポイント。

【編集注】執務エリアに対して、華やかなイエローのUSMハラーシステム収納で仕切られたところにリフレッシュエリアがある。ロングテーブル、カフェカウンター、ソファ席、スタンディング席などがそこに設けられている。こちらはフローリング床、天井はスケルトン化、暖色系照明に、印象的なデザインのチェアが揃えられていて、執務エリアとは雰囲気が変えてあるところもポイント。


≪カフェカウンター THE PIT≫

【編集注】リフレッシュエリア内にあるカフェカウンター。こちらでコーヒーなどの飲み物を飲んでリフレッシュできる。

【【編集注】リフレッシュエリア内にあるカフェカウンター。こちらでコーヒーなどの飲み物を飲んでリフレッシュできる。


≪リフレッシュエリア その2≫

【編集注】先ほどのリフレッシュエリアに加えて、執務エリアの反対側にも、少し形を変えて別なリフレッシュエリアが設けられている。こちらはブラックのUSMハラーシステム収納で仕切られ、ベンチシートとテーブル席が並ぶカフェスタイルになっている。

【編集注】先ほどのリフレッシュエリアに加えて、執務エリアの反対側にも、少し形を変えて別なリフレッシュエリアが設けられている。こちらはブラックのUSMハラーシステム収納で仕切られ、ベンチシートとテーブル席が並ぶカフェスタイルになっている。


≪和室「たたみ空間」≫

【編集注】こちらは今年新設された和室「たたみ空間」。執務エリアから切り離された部屋で、靴を脱いで横になったりしてリラックスできる。

【編集注】こちらは今年新設された和室「たたみ空間」。執務エリアから切り離された部屋で、靴を脱いで横になったりしてリラックスできる。



■ある人にとってのリラックスは別な人にとってはリラックスでなかったりする

――執務エリアは統一感あるシャープな印象、対してリフレッシュエリアではその中にソファやテーブル席、スタンディング席などバラエティがありますが、こちらの狙いは?


――執務エリアは統一感あるシャープな印象、対してリフレッシュエリアではその中にソファやテーブル席、スタンディング席などバラエティがありますが、こちらの狙いは?


社員が働きやすいようオフィス内のゾーニングを考えたのですが、ある人にとってのリラックスできる環境は、別な人にとってリラックスできる環境ではなかったりするのですね。


いろいろな働き方、各人のスタイルがあるので、その人に合った、また、そのときの気分にあった場所で仕事に集中できるのが良いと考えて、いろいろな働くポイントをオフィスの中に用意しました。


そうした考えから今年は「たたみ空間」という和室を作りました。「たたみ空間」の基本的な狙いは、靴を脱いでリラックスできることです。でも、必ずしも休む場所という利用の仕方だけではなくて、この部屋は電話も置いていないので、靴を脱いで座って、静かに仕事に集中したいという人のためでもあったりします。オフィス内で、いろいろな働き方に対応できることをテーマにしているのです。



■いろいろな働き方に対応できるためのオフィスの工夫とは

――オフィス内でいろいろな働き方に対応できる、について具体的には?


――オフィス内でいろいろな働き方に対応できる、について具体的には?


そうですね。オフィス内をいくつかにゾーニングして、大きく分けると、執務デスクのあるエリア、リフレッシュエリアがあり、それぞれの中もいろいろな働き方に対応できるようにしています。仕事では、その時々で、いろいろな目的があるので、それに合わせて、空間を使い分けられるようにしています。具体的に説明していきますと、、



≪オフィス内の各エリアの狙いを解説≫

【編集注】以下では、同社社長 杉田さんによる説明をオフィスの写真とともにお送りします。


≪執務デスクエリア≫

ゾーニングでは、執務デスクは仕事に集中する場所としています。ちなみに、執務デスクの席は、半数が固定席、残る半数がフリーアドレスです。内勤でずっと社内にいる人は固定席で、外出する人はフリーアドレスにしていますが、配置を工夫していて、固定席だけの島を作らないようにしています。方法としては、固定席の間にフリーアドレスの席を設けて、固定席の人の間にフリーで人が入ってくることによって、いつもと違う人とのコミュニケーションが生まれたりというように、コミュニケーションが活性化するよう意識しています。

ゾーニングでは、執務デスクは仕事に集中する場所としています。ちなみに、執務デスクの席は、半数が固定席、残る半数がフリーアドレスです。内勤でずっと社内にいる人は固定席で、外出する人はフリーアドレスにしていますが、配置を工夫していて、固定席だけの島を作らないようにしています。方法としては、固定席の間にフリーアドレスの席を設けて、固定席の人の間にフリーで人が入ってくることによって、いつもと違う人とのコミュニケーションが生まれたりというように、コミュニケーションが活性化するよう意識しています。



≪スタンディング席≫

座って仕事をするのに疲れて来たら、立って仕事ができるようにスタンディング席を設けています。立つだけだと楽ではないので、少し腰かけられる「スティッツ (Stitz)」というハーフシーティングチェアを置いて、半分座って半分立ってるような状態ができるように。

座って仕事をするのに疲れて来たら、立って仕事ができるようにスタンディング席を設けています。立つだけだと楽ではないので、少し腰かけられる「スティッツ (Stitz)」というハーフシーティングチェアを置いて、半分座って半分立ってるような状態ができるように。



≪ソファスペース≫

このソファは、本当は自宅に入れられるなら入れたいなと思ったソファです(笑)。ソファでリラックスしたり。

このソファは、本当は自宅に入れられるなら入れたいなと思ったソファです(笑)。 ソファでリラックスしたり。



≪カフェカウンター THE PIT≫

カフェカウンターは、「THE PIT」と名付けたのですが、F1レースなどを開催するサーキットにあるPITから、オフィス内の「補給する場所」というイメージです。こちらにみんな頻繁にコーヒーを補給しに来るんですよ(笑)。

カフェカウンターは、「THE PIT」と名付けたのですが、F1レースなどを開催するサーキットにあるPITから、オフィス内の「補給する場所」というイメージです。こちらにみんな頻繁にコーヒーを補給しに来るんですよ(笑)。


お昼の時間になってくると、お弁当派はここで食べていたり。日中は執務デスクで仕事してるけど、夕方はこちらでやってる人とかいます。昼間はカウンターで社員が雑談していたり、時間帯によって結構使われ方は違いますね。コーヒー好きな人も多いので、コーヒーを注ぎに来た人が何言か言葉を交わしたり、そのままそこで話し込んだりなどです。



≪ロングテーブル≫

カフェカウンター近くに設けたロングテーブルですが、打ち合わせもここでしています。また、社内イベントもこちらで。普段は、テーブルで仕事をするなど多目的に使えます。

カフェカウンター近くに設けたロングテーブルですが、打ち合わせもここでしています。また、社内イベントもこちらで。普段は、テーブルで仕事をするなど多目的に使えます。


このロングテーブルは、このオフィスのあるビルの下の階にカフェがあるんですが、そこにこういう大きなテーブルがあって、そこからヒントを得ました。その大きなテーブルで、会話をしている人たちと、一方では集中する人は集中して仕事をしていたり、それぞれが1つのテーブルでいろいろな仕事をしているのを見て、これは凄くいいなと。それで造作家具を注文して作ってもらいました。テーブルを各人が一部使ったり、会議で全体を使うなど多目的に使えるので気に入っています。



≪リフレッシュスペース≫

執務席の奥にもリフレッシュスペースを設けて、こちらにコーヒーを持ってきて、カフェのようなスタイルで仕事をしたり、2人で打ち合わせしたりもできます。もちろん、ここでお弁当を買ってきてランチも取れます。

執務席の奥にもリフレッシュスペースを設けて、こちらにコーヒーを持ってきて、カフェのようなスタイルで仕事をしたり、2人で打ち合わせしたりもできます。もちろん、ここでお弁当を買ってきてランチも取れます。



≪BOSEスピーカー≫

執務エリア内は、BOSEのスピーカーを天井に埋め込んでいて、社内でDJ担当を設けて、主に洋楽を流しています。昔は僕がいろいろ音楽を設定していたら、誰かが気に入らないのか、いつの間にか変えられているんですよ(笑)。家庭のテレビのチャンネル戦争みたいことが以前はあって、それ以来、1週間単位で担当DJを決めて、担当DJが好きなものをかける形にしていますね。だから週によっては小鳥のさえずりがなっているときもありますし、洋楽のヒットから、昔の曲まで。仕事に集中しながらも耳に入ってきた曲で、この音楽こうだね、という話もあったりして、いいです。

執務エリア内は、BOSEのスピーカーを天井に埋め込んでいて、社内でDJ担当を設けて、主に洋楽を流しています。昔は僕がいろいろ音楽を設定していたら、誰かが気に入らないのか、いつの間にか変えられているんですよ(笑)。家庭のテレビのチャンネル戦争みたいことが以前はあって、それ以来、1週間単位で担当DJを決めて、担当DJが好きなものをかける形にしていますね。だから週によっては小鳥のさえずりがなっているときもありますし、洋楽のヒットから、昔の曲まで。仕事に集中しながらも耳に入ってきた曲で、この音楽こうだね、という話もあったりして、いいです。



≪執務チェア≫

執務チェアはヴィトラ社のAC4を採用しました。過去、いろいろ椅子を使う中で、仕事で長時間座っているので、疲れづらい、負担が軽減できるものということで選びました。

執務チェアはヴィトラ社のAC4を採用しました。過去、いろいろ椅子を使う中で、仕事で長時間座っているので、疲れづらい、負担が軽減できるものということで選びました。


チェアの色を黒にしたのは、リフレッシュスペースは、リラックスできるよう温もりをテーマに作っていますが、温もりだけが前面に出てしまうと、オフィス全体がほんわかしすぎてしまうので、執務スペース側は、キリッと引き締まるよう黒をところどころつかって、オフィスとしての高揚感、シャープな印象になるようにしています。


(写真の奥、リフレッシュスペースとの区切りのイエローカラーの収納について) オフィス全体で、あまりにもカラーがなさすぎると、それはそれで無機質になってしまうので、すごく細かいんですけども、リラックスする空間には、ああいうイエローのビタミンカラー的なものを取り入れるなどバランスを取っています。



≪リフレッシュスペースをフロア端から撮影≫

リフレッシュスペースは、執務空間側とゾーニングのメリハリをつけるために、天井を抜いて(スケルトン化)いて、床をフローリング、テーブルも木を多く使って温もりのある空間にしています。

リフレッシュスペースは、執務空間側とゾーニングのメリハリをつけるために、天井を抜いて(スケルトン化)いて、床をフローリング、テーブルも木を多く使って温もりのある空間にしています。



≪文具ケース≫

執務デスク上には固定の収納がないので、卓上で使う文具を整理できるよう、ヴィトラ社のツールボックスという道具箱を採用しました。日中はデスクに置いて使って、帰る時は自分のロッカーにしまうことで、デスク上に文具が散らからず、ある程度、統一感を出したかったので。

執務デスク上には固定の収納がないので、卓上で使う文具を整理できるよう、ヴィトラ社のツールボックスという道具箱を採用しました。日中はデスクに置いて使って、帰る時は自分のロッカーにしまうことで、デスク上に文具が散らからず、ある程度、統一感を出したかったので。



≪和室「たたみ空間」≫

和室については、実は、僕自身も静かにリラックスする場所が欲しかったというのもあるんですよ(笑)。オフィスを作ってから、オフィス内に隠れるスベースがないなと気づいて、今回の和室を作るのに至ったというのもあります。

和室については、実は、僕自身も静かにリラックスする場所が欲しかったというのもあるんですよ(笑)。オフィスを作ってから、オフィス内に隠れるスベースがないなと気づいて、今回の和室を作るのに至ったというのもあります。


ここは電話線を引いてません。和室では電話がならないようにしていて、入口の扉も閉じるので、完全に音を遮断できますので、昼寝に使うこともできるようにしています。15分仮眠すると生産性上がるという話もありますよね。僕も経営の数字をずーっと見ていると疲れてくるので、ここで15分ほど仮眠を取ったりすることもあります。


このように、仕事に集中する、休憩する、リラックスして仕事をするなど、いろいろ目的があるので、それぞれに合わせて空間を分けています。そうしてゾーニングした空間で、各人が働き方を選べるようにしているので、うちのオフィスの中には、いろいろ働くスタイルが存在しているんじゃないかな。



(インタビュー前編終わり。後編に続く)



興味深いインタビューはまだまだ続きます。
インタビュー後編では、オフィスで、リラックスと高揚感の両方を兼ね備えるというユニークなポイントを伺っています。



続きはこちらから

リラックスと高揚感の両方を兼ね備えるエムステージのオフィスの秘密を探る【後編】~株式会社エムステージ 代表取締役 杉田 雄二 氏インタビュー~ (オフィス訪問[4])










取材先

株式会社エムステージnewwindow


「持続可能な医療の実現」をミッションに掲げ、2003年に設立されたベンチャー企業。医師に特化した転職とアルバイトの紹介事業の「Dr. 転職なび」「Dr. アルなび」をコア事業とし、企業ヘルスケア領域へビジネスを拡大するなど、医師人材領域で成長中。





編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
取材日:2018年3月15日

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