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社員の成長を促す1on1スペースの作り方と事例 ~これからのオフィスづくりのヒント(7)~

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画像: vgajic / iStock  (※)

画像: vgajic / iStock (※)



「これからのオフィスづくりのヒント」シリーズ

記事「大きく変わるオフィス コミュニケーションをマップで図解 ~これからのオフィスづくりのヒント~」の続きです。




「みんなの仕事場」担当の阿曽です。あちこちのオフィスを取材して分かるオフィスづくりのトレンドを「これからのオフィスづくりのヒント」シリーズとしてお伝えしていきます。自分たちのオフィスをどうやって働きやすく変えていくかを考えている方、オフィスファシリティ担当の方に役立つことを目指しています。



■今回は「1on1スペース」

(「みんなの仕事場」にて作成 )

(「みんなの仕事場」にて作成 )


今回は、「1on1スペース」について取り上げます。新しいオフィスでときどき見かけるようになった空間です。



■「1on1スペース」

画像: KAO / PIXTA(ピクスタ)  (※)

画像: KAO / PIXTA(ピクスタ) (※)



1on1 (ワン・オン・ワン) スペース」とは、1対1で上司と部下が話す「1on1ミーティング」のための空間です。ヤフーでの導入が話題になりました。統計はないものの、導入企業は増えつつあり、それに伴ってオフィスに新しく設けられたり、オープンミーティングスペースで1on1ミーティングを行うなど、活用が広まっているようです。


1on1ミーティングをどうしたら効果的に行えるかといったことについては、多くの書籍が出版されており、ネット検索しても人事系のサイト等で詳しく述べられていますので、こちらでは空間づくりにポイントを絞ってお話しします。



1on1はいろいろなやり方がありますが、共通するのは、評価面談ではないということです。対立的な話合いではありません。上司が部下の話を聞き、成長を促すところにポイントがありますので、座る位置を対立的にならないようにしたほうが良いのです。



■スティンザー効果

(「みんなの仕事場」にて作成 )

(「みんなの仕事場」にて作成 )



会議での座る位置については、1950年にアメリカの心理学者バーナード・スティンザーにより発表された「スティンザー効果」が有名です。会議で座る席について、正面に座るのは過去に口論になったことがある場合が多いなど、座る位置関係とその影響を調べたもので、その後の多くの心理学の研究から、正対して向き合う、斜めに向き合う、横に並ぶなど座る位置関係とその心理的な影響が明らかになっています(*1)



*1) 多くの研究が行われており、それぞれ条件により結果が多少異なるため、ここでは環境心理学で有名な「人間の空間 デザインの行動的研究」(ロバート・ソマー著 穐山貞登訳 1972年 鹿島出版会)を元にしています。




■正対して向き合う(競争・対立)

(「みんなの仕事場」にて作成 )

(「みんなの仕事場」にて作成 )



正対して向き合う位置関係は、競争的で対立を生みやすいとされています。そのため、1on1の「部下の成長を促す」という観点からは、次のような位置関係が良いようです。




■角を挟んで座る(会話)

(「みんなの仕事場」にて作成 )

(「みんなの仕事場」にて作成 )



正対するのを避け、角を挟んで座る形は会話向きとされています。




■並んで座る (協力)

(「みんなの仕事場」にて作成 )

(「みんなの仕事場」にて作成 )



このように、横に座るのも協力しあうのに向いているとされています。




■半円テーブル (協力)

(「みんなの仕事場」にて作成 )

(「みんなの仕事場」にて作成 )



丸テーブルは上下関係がつきづらいフラットな座り方ができる特徴がありますが、半円テーブルも座ると自動的に正対しあわない形で座ることができるので、こちらもおすすめです。




■1on1スペースの押さえどころ


押さえどころ レイアウトの工夫
(1)正対せず、斜めに向き合う、または、横に座る 正対して座れないようにテーブルや椅子の配置を作っておく。
(2)座った時に距離感は近めになるように 通常の会議テーブルではなく、小さめのサイズのテーブルを使う。


おおよそ、こうした工夫がされているケースが多いです。




■通常の会議室が1on1ミーティングに向かない理由

(「みんなの仕事場」にて作成 )

(「みんなの仕事場」にて作成 )



通常の会議室を1on1ミーティングに使うと、会議室内のテーブルと椅子のレイアウトから、上の図のように座りがちです。上司と部下が正対して向き合ってしまい、しかもお互いの距離が遠いという、1on1に不向きな位置関係になっています。


そのため、1on1ミーティング専用の場所を作ったほうが、より有意義な1on1が進めやすくなるというわけなのです。といっても、1on1専用の部屋を作っているケースは取材している限りでもあまり多くはありません。社内のカフェスペースや、ファミレス席、オープンミーティング席を使うケースも多いようです。


ちなみに、専用の部屋にするメリットは、ミーティング内容のプライバシーを保ちやすいことが挙げられます。その場合、密室で2人きりになってしまうことから、安全を考慮して、視覚面で密室にならないようガラス張りで外から見えるようにするなどの配慮が必要になります。



それでは1on1スペースのポイント整理をしてみたいと思います。



■1on1スペースのポイント整理


1on1スペース
概要 導入が増えている1on1ミーティングのための専用スペース。
用途 ・1on1ミーティング
副用途 ・電話ブース、集中スペースなど
作り方のポイント ・対立関係が生まれないよう、正対して座れないようにする。
・会話や協力関係が生まれるよう、斜めに向き合う形や、横に座る形が取れるようにテーブルや椅子をレイアウトする。
・話しやすいよう距離感は近めになるように、小さめのサイズのテーブルを使うなどしてレイアウトする。
・部屋の場合、2人きりの密室になるため、ガラス張りにするなど視覚的にオープンさを保つなどの配慮が必要。



では、具体的に1on1スペースについて見て行きたいと思います。


実際にどのような空間が作られているのか、過去の取材記事の中から実例をピックアップして見ていきます。



■過去の取材記事からピックアップ


「みんなの仕事場」の過去の取材記事から1on1スペースに該当するエリアを1点ピックアップしました。写真の下に解説をつけていますので、ご参考にしてください。






■1on1スペース

「働き方に合わせた独自のワークプレイスづくり! 空間デザイン・施工を手掛ける株式会社コスモスモアの本社オフィス訪問【前編】 (オフィス訪問[1])」より

働き方に合わせた独自のワークプレイスづくり! 空間デザイン・施工を手掛ける株式会社コスモスモアの本社オフィス訪問【前編】 (オフィス訪問[1])」より

集中室やスタディルームを兼ねた1on1スペース。



横に並ぶスタイルになっている。

横に並ぶスタイルになっている。






1on1ミーティングのための専用スペースは、導入している会社はまだ多くありませんが、1on1ミーティング自体の導入は進んでいるようです。今回はテーブルと椅子のレイアウト面からのポイントをまとめました。次回は、セミナースペースを掘り下げていきます。(阿曽)













編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
制作日:2019年 10月25日




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