画像: Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ) (※)
「これからのオフィスづくりのヒント」シリーズ
記事「大きく変わるオフィス コミュニケーションをマップで図解 ~これからのオフィスづくりのヒント~」の続きです。
「みんなの仕事場」担当の阿曽です。あちこちのオフィスを取材して分かるオフィスづくりのトレンドを「これからのオフィスづくりのヒント」シリーズとしてお伝えしていきます。自分たちのオフィスをどうやって働きやすく変えていくかを考えている方、オフィスファシリティ担当の方に役立つことを目指しています。
(「みんなの仕事場」にて作成 )
今回は「立ち話スペース (スタンディングミーティング/立ち会議)」について取り上げます。立ち話スペースは、朝会でメンバーのタスク確認や、ちょっとそこで話そう、といった5~15分のミーティングに使われている空間です。
仕事を進めていると、進行中の案件で関係者と何点か確認したい、どちらにするか擦り合わせしたいといった小さな打合せが発生します。そうした打ち合わせは15分くらいあれば足りますが、わざわざ会議室を取って参加者を招集する形で行おうとすると、会議室の空き時間がなかなか取れずに手間取ったり、メンバーのスケジュール調整など、打ち合わせの内容以外のことに時間が取られて効率的でありません。また、会議室側からも、そうした予約で常に先まで埋まってしまうと、運用効率もよくありません。本当に会議室が必要な会議をすぐに開けるようにしたいものです。
そこで、わざわざ会議室を使うまでもない打合せのために、ちょっと立って話せる場所を作るというのが立ち話スペースであり、第2回目で解説したオープン会議スペース(ファミレス席など)なのです。打合せの特性に合わせて、スペースを使い分けることで効率を上げる狙いです。
そこで従来の会議室と、オープン会議スペース(ファミレス席など)、立ち話スペースの使い分けのポイントを以下に整理しました。
予約 | 打合せ時間 | 人数 | 特徴 | |
---|---|---|---|---|
従来の会議室 | 必要 | 60分~ | 10-20名も可能 | 関係者が多く集まって議論するもの |
オープン会議スペース (ファミレス席) |
不要(すぐ使える) | 15~60分程度 | 2~6人 | 関係する数人がサッと集まって打合せ |
立ち話スペース | 不要(すぐ使える) | ~15分程度 | 2~4人 | 関係する数人がサッと集まって短時間打合せ |
すべての打合せを会議室で行おうとすると会議室が足りません。会議室の空き待ちで打合せを先延ばしするのは非効率的です。そこで、参加者も多く、関係者のスケジュールをきちんと確保して行う会議には会議室を優先します。
対して、関係者数人が集まって打合せには、予約不要のオープン会議スペース(ファミレス席)や、立ち話スペースを使うようにすることで、会議そのものと会議室運用の効率化の両方が図れるのです。
関係者が数人であれば、お互いの空き時間の確認も用意なので、例えば、今すぐであったり、1時間後になど、会議を始められます。そのためには予約不要のスペースが必要なのです。また、予約不要の会議でも、30~60分かかりそうなものは落ち着いて話せるオープン会議スペース(ファミレス席)へ、15分もかからなそうなものは立ち話スペースで行うように使い分けることでさらに効率化を図れます。
画像: OstapenkoOlena / iStock (※)
立ち話スペースを作るにあたって、押さえるべきポイントを整理しました。
≪立ち話スペースの押さえるべきポイント≫ |
---|
・執務エリア内にあってすぐ行ける |
・予約不要ですぐ使える |
・6名くらいまで |
・ホワイトボードや大型モニタなどもあると便利 |
・雑談用に置くのもおススメ |
立ち話スペース(スタンディングミーティング/立ち会議) | |
---|---|
概要 | 執務スペース内にハイテーブルを設け、立ち話スペースとする。会議室で行うまでもない、少人数(2~6人)の短い打合せを、必要なときにサッと集まって立って行う。 |
用途 | ・短時間ミーティング ・会議のスペースの使い分けによる効率化 |
作り方のポイント |
・執務エリア内に作る (移動時間ゼロで行ける) ・予約不要ですぐに使える ・6名くらいまでを想定したテーブルサイズ ・ホワイトボードや大型モニタがあると便利 ・雑談用に通路や社内カフェスペースに置くのもおすすめ。 |
では、そろそろ具体的に立ち話スペース(スタンディングミーティング/立ち会議)について見て行きたいと思います。
実際にどのような空間が作られているのか、過去の取材記事の中から実例をピックアップして見ていきます。
「みんなの仕事場」の過去の取材記事から立ち話スペース(スタンディングミーティング/立ち会議)に該当するエリアを12事例ピックアップしました。写真の下に解説をつけていますので、ご参考にしてください。
「アイリスオーヤマの新オフィス「アイリスグループ東京アンテナオフィス」に行ってきました! (オフィス訪問[1])」より
何か相談事があれば関係者がこの丸テーブルを囲むとのこと。この丸テーブルは特注で全国のアイリスオーヤマの支社、工場に置かれている。
【参考リンク】「アイリス流ワークスタイル」[外部サイト]
「南青山の洋式一軒家オフィスを訪ねてきました(Web制作プロダクション 株式会社シフトブレイン訪問[3])」より
執務スペースの中央に設けられたスタンディングミーティングスペース。朝のミーティングで各人のタスク確認や、ちょっとした打ち合わせに使われる。ハイテーブルの下は書庫になっており、収納も兼ねている。
「働きやすい上質な執務環境が整備されたソネット・メディア・ネットワークス株式会社のオフィス訪問(大崎駅徒歩4分)」より
執務エリアの壁沿いに設けられた立ち話スペース。壁にはホワイトボード。スツールも置かれている。
「働き方改革で会議をスリム化!ストライプインターナショナルの会議はここが違う(オフィス訪問[3])」より
執務エリア内にあるカフェスペースにある立ち話用のテーブル。
「働き方改革で会議をスリム化!ストライプインターナショナルの会議はここが違う(オフィス訪問[3])」より
執務エリア内にある立ち話できる丸テーブル
「ここはオフィスじゃない。ハワイだ!イマジネーションが湧く環境づくりのためにここまでする(ノースショア株式会社 オフィス訪問[1])」より
執務エリア窓際にある立ち会議スペース。ブルーのパーティションが全面ライティングボードになっている。
「LINE株式会社 新オフィス訪問 ~1か所に集約移転、更なる"WOW"を創出するオフィスとは?!~【後編】(オフィス訪問[2])」より
コミュニケーションエリアにある大きなハイテーブル。予約不要で使える。壁にはプロジェクターからモニタ画面を投影できる仕掛け。
「マッチ箱、ブレストBox、Pitch square?! ディップ株式会社 新オフィスの「日本一コミュニケーションが取りやすい」仕掛けとは(オフィス訪問[2])」より
窓際に設けられた立ち会議用の「トークスタンド」。モニタとホワイトボード装備。
「働き方に合わせた独自のワークプレイスづくり! 空間デザイン・施工を手掛ける株式会社コスモスモアの本社オフィス訪問 【後編】(オフィス訪問[2])」より
執務エリア内、収納を兼ねた立ち会議用テーブル。天板が広く図面を広げて打合せにも。
「保育・介護・福祉分野の人材サービスで急成長 株式会社ウェルクスの新オフィス訪問【後編】(オフィス訪問[2])」より
執務エリア端に設けられた立ち会議スペース
「世界有数のヘルスケア企業ロシュの診断薬事業部門 日本法人 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社の本社オフィス訪問【執務エリア編】(オフィス訪問[2])」より
執務エリア内。書庫を兼ねた立ち会議スペース。
「即戦力採用のTV CMで有名なビズリーチのオフィスにおしゃれなカフェが出来たと聞いて訪問してきました (株式会社ビズリーチ オフィス訪問[1])」より
執務エリア内、柱周りに設けられた立ち会議スペース。大型モニタ装備。
立ち話スペース(スタンディングミーティング/立ち会議)は、じわじわと流行っている印象です。取材していると設置しているオフィスを多く見かけます。1回に5~15分程度しか使わないのでフロア内に1~2カ所あれば良いというのもポイント高いですね。次回も、残るスペースをまた豊富な事例とともに掘り下げていきます。(阿曽) |
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
制作日:2019年 10月17日
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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