画像: seb_ra / istock (※)
・社内カフェなんてウチにはムリムリ!
・社内カフェは組織横断的なコミュニケーションの場
・場所もないのにカフェ設置は可能か?
・社内カフェ作り 3つの割り切るポイント
・20平方メートルで作る社内カフェ
・カフェらしくする空間演出6ポイント
・10平方メートルで作る社内カフェ
・3平方メートルで作るミニマム社内カフェ
・社内カフェ作りに役立つ空間資料集
こんにちは。みんなの仕事場担当の阿曽です。
初心者でもプロっぽくできるオフィスレイアウト第3回は、社内カフェを作るアイデアです。
取材では、社内カフェを見かけないオフィスに出会うのが難しいくらい主要な設備になってきました。どこの社内カフェも社員の人気スポットになっています。いまや会社の賑わい作りに欠かせない設備と言えるのではないでしょうか。
といっても、社内カフェなんてウチにはムリムリ!と思われるかもしれません。
でも大丈夫です!
初心者でもプロっぽくできるシリーズですから、初心者にもできる社内カフェを解説していきます。
そこで、作り方を説明する前に社内カフェの見逃せないメリットについて触れておきます。
社内カフェはリフレッシュのための休憩場所として使えることはもちろんですが、それにとどまらない機能性があるので、設置する企業が多いのです。
社内カフェは、組織横断的なコミュニケーションができる場として機能します。
コミュニケーションについて、以下の表のように、2種類に分けて考えます。
コミュニケーション内容 | 行われる場所 | |
---|---|---|
部内コミュニケーション | 決定や報告の会議 業務の報告・連絡・相談 |
会議室 執務席周辺 |
組織横断的なコミュニケーション | 部門関係ない雑談 カジュアルな相談 |
タバコ部屋 飲みニケーション 社内カフェ |
ほとんどのオフィスは組織図に沿った部門ベースのレイアウトですから、部内コミュニケーションは、執務席周辺で行われる業務報告や相談で満たせます (一部は会議室にて)。
それに対して、部門を超えたコミュニケーションや、業務相談から離れた気軽なコミュニケーションは執務席周辺では取りづらいのです。
そうした部門を超えたコミュニケーションや気軽なコミュニケーションは、従来、タバコ部屋や居酒屋などでの飲みニケーションを通じて行われていました。
それが昨今の禁煙化の流れや、ダイバーシティ、働き方改革の進展などで、タバコ部屋や飲みニケーションでは不足するようになってきています。そこで社内カフェが注目されるようになったのです。
さらに社内カフェならではのメリットもあります。社内カフェには通常、入室が管理された社内のため、そこにいるのは社員に限られます。そのため、外のカフェではできない社外秘の話もできるのです。
また、昨今、雑談の重要性も認識されてきており、GoogleやAppleの雑談の重視や、雑談が生産性のアップにつながるといった研究も出ています。(注1)
(注1)雑談が重要視される例
Googleのカフェテリアについて『社内ですべての社員と来客に無料で食事を提供するのは、新しいアイデアが生まれるコミュニティと機会を創出するため』「ワーク・ルールズ!」(ラズロ・ボック、鬼澤 忍・矢羽野 薫 /訳 東洋経済新報社、2015年)
スティーブ・ジョブズ『創造性は何気ない会話から、行きあたりばったりの議論から生まれる。たまたま出会った人になにをしているのかたずね、うわ、それはすごいと思えば、いろいろアイデアがわいてくるのさ。』 伝記「スティーブ・ジョブズ」(ウォルター・アイザックソン、井口耕二/訳、講談社、2011年)より。
オフィス設計でコミュニケーション促進し生産性を上げた事例 「仕事場の価値は多様な出会いにある」ベン・ウェイバー Ben Waber, ジェニファー・マグノルフィ Jennifer Magnolfi, グリッグ・リンゼー Greg Lindsay, 辻 仁子/訳, 『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2015年3月号, p24, ダイヤモンド社
ちなみに、社内カフェスペースが人気の理由については以下の記事で詳しく取り上げましたのでぜひご覧ください。
オフィスコミュニケーションマップ
上のリンク先記事からの引用ですが、社内カフェは上の表のように終日、マルチに使えて、会社としてスペース利用効率が良いという点も人気の理由です。昔の社員食堂のようにお昼時だけ使う施設ではなくなっているのです。
背景画像: luckyraccoon / istock (※)
社内カフェが役立つことは分かるが、場所がないし、費用もかけられない
と思われるのはもっともです。
カフェを作ろうと考えて、上の写真のような空間を想像すると、確かに二の足を踏んでしまいます。
でも、いろいろなオフィスの社内カフェを取材した私の感想から言いますと、そこまでお金をかけて、広いスペースを取らなくても社内カフェの機能 (組織横断的なコミュニケーション)は実現できます。
組織横断的なコミュニケーションを生むためには押さえるべきポイントがあって、それ以外はしないと割り切ることで社内カフェは現実的になってきます。
では、社内カフェ作りにおいて、何を割り切るべきか?
初心者でもプロっぽくできる社内カフェ作りの割り切るポイントをまとめました。
別室にする必要はありません。むしろ執務エリア内や隣接しているほうが、立ち寄るための移動時間がゼロにできるので社内カフェのメリットが出てきます。仕事中にちょっと休憩で立ち寄れることが、社内カフェならではのメリットになります。また、執務エリア内にあれば、カフェに知り合いがいるのが見えたら話にいけますよね。執務エリア内や隣接しているところ、主要な通路沿いにスペースを作って社内カフェ設置が良いのです。(そのために、いくつか収納や机を移動させる必要はあります)
この割り切りは大切です。カフェをやるならシンクを設置しないといけないと考えてしまうと、カフェ設置のハードルが上がって、ウチには無理!となってしまいます。ところが、取材していても水回り工事までやっている社内カフェは必ずしも多くはないのです。ゴミ箱は必要ですが、飲み残しについては給湯室のシンクに捨ててもらうようにすれば問題ありません。外のカフェでコーヒーをテイクアウトする社員の方も多いと思いますが、飲み残しは給湯室のシンクで捨てています。
社内カフェの設置目的はカフェの開店ではありません。社員が集まって雑談する場所作り(+リフレッシュ場所) ですから、コーヒーマシンや電気ポットを置いて、社員がセルフでコーヒーやお茶を作って飲めれば十分なのです。電気ポットだけでも、ティーバッグや、1杯取りのドリップコーヒーやスティックコーヒーなど、いろいろな飲み物が楽しめます。ランチ用にインスタントのお味噌汁を置いている会社もありますね。
それでは、本シリーズ、例によりまして、オフィスレイアウトソフトでシミュレーションして解説していきます。
まずは、社内カフェを執務フロアに作るビフォー・アフターのCG写真を作成しました。少し広めになる、20平方メートル (4.5m×4.5m) を使います。以下、20平方メートルカフェ、とここでは言うことにします。
このような普通の執務エリアですが、
↓
フロアの隅を少し机と収納を移動させて、社内カフェに変身させました。
レイアウト図で見てみます。
レイアウト図
フロアの隅、4.5m×4.5m 約20平方メートルを使ったカフェです。
デスク6名分、ローキャビネット収納5台分のスペースを使っています。
いやいや、20平方メートルも取れないよ!
という皆様もご安心ください。
この後、10平方メートル、3平方メートルで作るパターンもご案内します。
20平方メートルカフェには、社内カフェ要素を詰め込んでいますので、レイアウトルールも含め、解説していきます。
奥にハイカウンター。そのカウンターには電子レンジ、コーヒーマシンを置いています。カウンター下は、ゴミ箱ですが、カウンターに組み込まれた分別ゴミ箱なので雰囲気を壊しません。写真手前には丸テーブル、左奥窓際はカウンター席を用意しています。
ここで、初心者でもプロっぽい社内カフェが作れる、カフェ空間を演出するポイントを解説していきます。
床は通常のフロアカーペットのままでも良いのですが、上のCG写真のようにフローリング風にすると、グッとカフェ感が盛り上がるのでおすすめです。また、床を変えることで執務エリアとゾーニングもできます。
床の色を変えると、人間はそこに境界を認識しますから、パーティションなどであえて仕切らなくても、緩くゾーニングすることが出来ます。オープンさを保ちながら、空間を分けることができるのです。
視覚を使ったゾーニング手法は、ほかにも、段差をつける、天井を抜く、部分的に屋根をつける、などもありますが、もっとも手軽にできるのが床のタイルカーペットを変える方法です。
床を変えるというと大変そうに思えますが、フローリングに見えるビニール製のフロアタイルも発売されていて、タイルカーペットと同じように敷くことができて、費用感もあまり変わりません。
フロアタイル例
「サンゲツ 置敷きフロアタイル 木目調 パイン(ライトベージュ)」(アスクルサイト)
この製品の場合、1枚が幅1000mm奥行166.7mmですので、4.5m×4.5mに貼るには単純計算で9セット (1セット14枚) あれば足りますから、施工費別で87,570円(税抜き)という費用感です(注2)。
注2) 記事中の商品価格は2019年10月20日時点の価格に基づきます。価格は変更になる場合がありますので、ご購入の際にご確認ください。
ちなみに、このフロアタイルは、フローリング風ですが、帯電防止のビニールなので汚れが付きにくく管理面からもおすすめです。社内カフェのコーヒーマシン周辺は、気を付けていても床にコーヒーこぼしてしまったりしますので、メンテナンスが容易になります。
前項で視覚的に床を変えることでゾーニングするテクニックをお伝えしましたが、人間の正面に見える壁も変えることで、カフェ空間を認識させることができます。
壁紙を変えるのも良いですが、人間の目は立体的に知覚しますから、立体的な構造を持つ壁を用意するほうが印象深くなります。
そこで、壁には、ブラックフレーム、木のラダーがついたパーティションを立てています。このパーティションは壁に沿って立てるだけですが、途端に雰囲気が変わります。
精悍な印象のブラックのフレームと、ナチュラルな木のラダーの組み合わせで、オフィスらしさがかなり払拭されます。
社内カフェは、オフィスらしさから離れるようにデザインするのが、カフェらしく仕上げるカギです。執務フロア内にあるとはいえ、執務席周りと何ら変わらない空間ではリラックスもリフレッシュもできません。オフィスフロアの中に小さな異世界を作るのがコツです。
ちなみに、こちらの費用感は、5枚のラダーパーティションと部品を合わせて、計80,200円(税抜き、組立・配送費別)となります。(注3)
注3) 記事中の商品価格は2019年10月20日時点の価格に基づきます。価格は変更になる場合がありますので、ご購入の際にご確認ください。
「トーカイスクリーン ブラックフレームパーティション 高さ1820mm×幅900mm」(アスクルサイト)
※パーティションには補助脚、連結金具が必要です。
社内カフェには、人が集まるための中心点が必要です。
マグネットスペースにあたりますが、それがこのハイカウンターになります。
カフェらしさは、カフェカウンターが肝と言えます。カフェカウンターが中心にあることで、ググッとカフェらしくなります。
このカウンター家具は、デスクも出しているシリーズ家具の1つで、イタリア製のおしゃれなデザインのハイカウンターです (しかもリーズナブル)。
木質パネルの柔らかな印象、テーブル天板を浮かすなどのデザインが魅力に加え、天板表面はメラミン化粧合板仕上げなので、水やキズに強くメンテナンス性が良いのも管理面で優れた点です。
このハイカウンターは、幅800mmと幅1600mmの2種類、ゴミ箱タイプ、コーナーオプションなど種類がいろいろあるので、こちらのようにL字に組むことで、造作家具ではなくても、オリジナルの形に作れるのでカフェらしさが高まります。
費用感としては手前のL字のカウンター、中身は幅800mmと、1600mmのカウンター、コーナーオプション各1点を組み合わせて、計53,790円(税抜き、組立・配送費別)となります(注4)。かなり気軽に作れるお値段なのがいいですよね。
注4) 記事中の商品価格は2019年10月20日時点の価格に基づきます。価格は変更になる場合がありますので、ご購入の際にご確認ください。
カウンター内側
壁側には別なカウンターを設置しています。
壁側のカウンターは、電子レンジやコーヒーメーカーなどを置いて、コーヒーを入れたりするための場所にしています。分別ごみ箱もこちらに。収納付カウンターゴミ箱タイプなので、見た目もスッキリきれいです。
表側にもL字型のカウンターがあることでカウンター内、カウンター外側に人が集まれるようにレイアウトしています。マグネットスペースとして、ゆるく囲んで滞留する場所を作るのです。
コーヒー・お茶を提供する
カウンター周りのマグネットスペースには社内カフェへの立ち寄る動機、目的が必要です。それが、コーヒー、お茶の提供になります。
コーヒー・お茶は無償のほうが喜ばれます。費用感で見ても、スティックコーヒーや1杯取りのドリップコーヒー、ティーバッグであれば、1杯10円からありますので、あまり大きくない負担で社内のコミュニケーション空間を演出できます。会社によっては、インスタントお味噌汁やスープを用意しているところもあり、お昼に人気になります。
ほかにも、社内のゴミ箱を集約してゴミを捨てに来るようにしたり、文具や事務用品の補充コーナーを併設したり、複合機を置く、社内報や連絡板を置くなど、社内カフェにやってくる目的を作ることで、社員同士の出会いを増やすように作ります。
ハイカウンター組み合わせ例
「ARAN WORLD ハイカウンター」(アスクルサイトへ)
画像: Ugan / PIXTA(ピクスタ) (※)
社内カフェは人を集めて、滞留してもらう(そこでそれぞれ思い思いに過ごしてもらう)ことが狙いです。
そのため、お気に入りになって座りたくなるような、いろいろな椅子を用意する、のです。
椅子をいろいろ揃える
社内カフェスペースの椅子は、あえて形を統一させず、カジュアルなダイニングチェアを中心にいろいろなものを置いてみてください。そうすると、カフェにやってきた人は、自分のお気に入りを選ぶようになります。見た目や座り心地を画一的にしないことが大切です。
いろいろな椅子を置くことで、座る椅子を選ぶ楽しみが生まれます。座り心地もそれぞれ異なるので、座るうちに自分のお気に入りの椅子ができてきます。自分のお気に入りの椅子ができると自分の居場所という感覚が生まれて、社内カフェに愛着が湧いてくるのです。こうした体感的なデザインも重要です。
有名デザインチェアは、置くだけで空間の雰囲気が変わるので、かっこいいデザインオフィスでは良く使われています。ですが、お値段が高くなってしまいますので、アスクルでも何種類か取扱いがありますが、カジュアルな家具店で販売されているダイニングチェアでも十分です。スペースに余裕があれば、ソファも入れると良いです。
(ちなみに、作例ではカジュアルチェア1種類のみにしていますが、説明の単純化のためなので、本当はいろいろな形のものを置くのが良いのです。)
社内カフェにはいろいろな目的で集まります。2人で話したい、4人でランチ、もう少し大勢で打合せ。ほかにも、1人で休憩、1人で集中作業といったニーズも。
こうしたいろいろな目的を受け止めるために、スペースが許す範囲で、機能性を変えたいろいろなテーブル席を用意するのもポイントです。以下に、まとめます。
人数 | 機能性 | |
---|---|---|
カウンター席(ロー) | 1人 |
・1人で休憩 ・1人で集中作業に ・窓際設置がおすすめ |
カウンター席(ハイ) | 1人 |
・ほぼ同上 ・見晴らしの良さ ・空間アクセントとして |
ベンチシート席 | 1~2人 |
・1人で休憩 ・1人で集中作業に ・2人で打合せ ・2人でランチ |
テーブル席 | 2~4人 |
・2~4人で打合せ ・2~4人でランチ |
ファミレス席 | 2~6人 |
・2~6人で打合せ ・2~6人でランチ |
ビッグテーブル | 1人 2~10人 |
・10人で打合せ ・2~4人で打合せ ・1人で作業 ・1人で休憩 |
それをレイアウトサンプルで具体的に家具の配置を見てみましょう。
20平方メートルカフェの例から。
1人で過ごしたいニーズは高く、1人で休憩、ランチに。ノートパソコンを使って1人で集中作業などにも使えます。奥行500mmのテーブルを使用しており、省スペースなのもポイントです。
窓からの見晴らしが良い場合おすすめです。少し難点はハイスツールが必要なので、コストアップになるところ。高さに変化がつくので印象的な空間になります。
カフェによくある壁沿いのベンチソファ席です。
1人用としても使え、2~3人の打合せにも使えます。
ちなみに、このソファはファミレス席を作るパネルソファを使って作っています。
20平方メートルカフェの例から。
もっとも一般的です。CG写真のテーブルは直径600mmの小テーブルで、通常は2人用です。テーブルの大きさを変えて2~3人用、4~5人用など設定できます。
2~6人で打合せや、グループランチにも使えます。
ほかにも2~4人くらいで集まって作業するコラボワークにも便利です。空いている時間なら1人で使うのもいいですね。
使い方のコツは、大きなテーブルを全体として使うだけでなく、一部を分けて使ったりします。
全体を使えば大勢の会議に。通常は、おのおの使うことで少人数ミーティングやランチ、1人作業に対応します。
画像: Tetiana5 / iStock (※)
カフェ空間にはいくつか象徴となるデザインがあります。その1つが、カフェカウンター上のペンダントライトです。街中のカフェを観察してみても、たいてい、こうした印象的なペンダントライトがついていると思います。受け取り口に印象的なペンダントライトがあったりしますね。
ペンダントライトは設置工事が必要になってしまうのですが、可能であればおすすめです。ペンダントライトでカフェ感は一層盛り上がります。またフロア内からも、あそこにカフェがある、というサインにもなります。
ほかにも、カフェらしく黒板メニューはあると気分が上がるのでおすすめです。こういう空間を盛り上げるグッズは100円ショップでも売られていますので、ぜひ見てみてください。自社のカフェの飾りつけはみんなでやると、きっと盛り上がりますよ! 自分たちのカフェという愛着も湧きます。
ペンダントライトいろいろ
画像: ツバキ / PIXTA(ピクスタ) (※)
以上で20平方メートルカフェを素材に、素人でもプロっぽく作る社内カフェ作りを解説してきました。
以降は、10平方メートルカフェ、2平方メートルカフェを解説します。
というわけで、10平方メートルで社内カフェを作ります。
20平方メートルカフェの縮小版といった形です。
10平方メートルカフェ レイアウト図
先ほどの空間をベースに10平方メートルに縦方向を縮小しています。
横から見たCG写真
スペース的な余裕があまりないので、カウンターを1台に。テーブル席を2席用意しました。隣接する部門専用カフェというのも良さそうです。
反対方向から見たCG写真
こちらから見てもカフェっぽく仕上がっています。
さらにエリアを縮小して3平方メートルへ。
3平方メートルカフェ レイアウト図
こちらは本当にミニマムです。1.8m×1.7mの空間に、カフェカウンターのみに要素を絞りました。
ミニマムですが、社員10名までのオフィスであれば十分に社内カフェです。
横から見たCG写真
反対方向から見たCG写真
最小はこの大きさです。小規模オフィスでも3平方メートルあればカフェが作れます。
ほかにも、カフェカウンターなしで休憩や打合せ利用のみで設計したものはこちらです。
ラダータイプのパーティションで囲み、執務フロア内で緩やかにカフェ空間を仕切っています。完全にパーティションで仕切るよりおすすめです。
壁側はすべてベンチシート。それにテーブル席を設けています。この広さですが、15人着席できますので、収容人数が多いのもいいですよね。
カフェは1人あたりのスペースが執務席より狭くて良いので、同じ空間でも収容人数は多くできます。つまり、執務席を少し減らすだけで社内カフェは作れるのです。
社内カフェが増えている背景には、オフィスワーカーの働き方の大きな変化があります。
IoTが進展し、AIも発展しつつある中、オフィスワーカーに求められる仕事が作業中心のものから、企画や対人折衝などクリエイティビティを求められる仕事へのウエイトが増しています。
作業ベースの仕事の場合、仕事は組織図に沿って流れます。部内でも同様で、事務作業も、前工程があり、後工程がある仕組みになっています。そのため組織図に沿った執務席に、始業から終業までスタンバイしていること、というのは意味がありました。執務席にいる=仕事をしている、という図式が成立していたのです。
他方、企画や対人折衝などがメインになったオフィスワーカーにとっては、良い企画を作ること、対人折衝をスムーズに進めるといったことが仕事になりますので、自席に始業から終業までいることが効率的ではなくなります。
良い企画を練るために1人で集中できる環境にいたり、人間が連続して集中できる時間には限界がありますから、集中力を回復させるため自分のタイミングで休憩をはさんで仕事をするということも合理的になります。また対人折衝には、ミーティングを随時行えた方がいいし、そのためには自席にいるよりもいろいろな人と会える場所にいたほうが合理的であったりします。
つまり、社員自身が、自分自身の能力を最高に発揮できるよう働き方を(自らが)選ぶ方が合理的なケースが現れたのです。
もちろん、どの会社にも当てはまることではありませんし、オフィスワーカーのすべての職種に当てはまることではありませんが、社内カフェを導入している新しいオフィスを取材する限り、働く人自ら、自身の能力を最高に発揮できる場所を選ぶ、という時代が始まった1つのあらわれのように思えます。
これは「ゆとり世代(1987~2004年生まれ)」の社会進出と関係があるように感じています。ゆとり世代の最年長は2019年で32歳になり、ゆとり世代の多くが社会人になりました。2002年の新しい学習指導要領による教育は、ゆとり教育と言われ批判的に語られることが多かったのですが、その理念は高く、「変化の激しい、先行き不透明な、厳しい時代」に対して、「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」が盛り込まれています。そうした新しい学習指導要領で育てられた子たちが成長し、社会人の若手を占めるようになった現在、もはや会社でも、自ら考え判断し行動できるのは当然と言える状況になりつつあるのではないかと思うのです。ゆとり世代が生き生きと働けるオフィスはどういったものになるかを考えるのも面白いかもしれません。(阿曽)
【参考】「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(中央教育審議会 第一次答申)」(外部リンク) 1996年
※当時の中教審の理念の高さ、自ら学び考え主体的に判断するといった「生きる力」の理念は現在も引き継がれています。
「オフィスにカフェを作ってコミュニケーション」はいかがでしたか。
カフェ空間も、カギとなる家具をレイアウトして、ポイントを押さえるとカフェらしく仕上がります。初心者でもデザインのルールに沿うとプロっぽく作れるのです。
既製品の家具を使ったカフェですが、自社のスペースに合わせて、カフェカウンターのサイズを調整したり、さまざまな座席タイプを選んで配置すれば、オリジナルのカフェ空間が出来上がりますよ!
次回は、「窓際を休憩&集中席に!窓際を使うわけ」です。
お楽しみに!
以降、執筆中ですので、追加をお待ちください!
今回の記事に出てきた空間作りの資料をまとめました。
ワンポイント・レイアウト サンプル集より、PDF資料ダウンロードコーナーです。
編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
制作日:2019年 11月14日
注) 記事中の商品価格は2019年10月20日時点の価格に基づきます。設置・組立費用、床、壁、グリーン、ウォーターサーバー等の備品は含まれません。商品の品切れ、販売終了等によりご購入いただけない場合はご容赦ください。
2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
こちらからご確認ください。