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会議室不足はファミレス席追加で解決!/初心者でもプロっぽくできるオフィスレイアウト 第2回

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画像: RedBarnStudio / istock (※)

画像: RedBarnStudio / istock (※)




こんにちは。みんなの仕事場担当の阿曽です。


初心者でもプロっぽくできるオフィスレイアウト第2回は、会議室不足をファミレス席で解決するアイデアです。



会議室が足りない。予約が取れない。こうした悩みはよく耳にします。


6名以下の社内会議の場所が足りないということであれば、ファミレス席で解決するケースが多いです。(注1) 以下、それを解説します。



6名以下の社内会議の場所が足りない場合は、ファミレス席で解決することが多いです

(注1) 会議室不足については、会議人数も含めた利用状況の調査をおすすめします。主な原因としては、(1)会社の成長で会議室需要が当初の想定を超えた、(2)会議人数と会議室の想定が合っていない、(3)空予約で実際の運用効率が悪い、というものです。特に、少人数会議ニーズが増える中で、当初想定と合わないケースが多く見られます。




オフィスを取材していますと、2~6名程度の少人数会議のニーズが多く、それに対応して会議室やオープン会議スペースを増やしているケースが多いのです。ITの進展で、課としての活動をするより、少人数チームの活動が増えたことが理由かもしれません。


自社の社内会議ニーズが6名までの、少人数会議のニーズが多いと分かれば、省スペースで設置できるファミレス席が1つの解決策になります。



そこで従来の会議室とファミレス席を比較していきます。




■ファミレス席は省スペース

会議室不足の解消にファミレス席をおすすめする理由の1つとして、省スペースが挙げられます。


会議室不足の解消にファミレス席をおすすめする理由の1つとして、省スペースが挙げられます。


会議室設置に比べてファミレス席設置は省スペースなのです。そのため、会議室を作りたくても場所がない場合でも、ファミレス席なら設置できたりします。


というのも、ファミレス席は、会議室と違って室内の歩行スペースが不要です。テーブルとソファの間も近く、コンパクトに作られています。


また、会議室の場合、消防法により、会議室前の通路幅を確保しなければいけません。両側に部屋があれば1.6m以上、片側に部屋があれば1.2m以上の幅が必要です。トータルで多くのスペースが必要になります。



ファミレス席設置寸法例

 (この後紹介するファミレス席のサンプルです。)

(「みんなの仕事場」で作成。典型的と思われる1例の寸法です。)




■会議室・ファミレス席のメリット・デメリット


表にまとめました。


 会議室  ファミレス席
機密性
対応人数 大人数可 6名程度まで
省スペース性
設置の容易さ
コスト



機密性に関しては会議室です。ファミレス席はオープンですので、社内会議用に使用するのがおすすめです。機密性の必要な会議には会議室、社外秘レベルの会議にはファミレス席という使い分けることで会議室の混雑を改善できます。


対応人数についても、ファミレス席の場合、6名程度までが上限になります。


その主な理由は、オープンなエリアで(普通の声で)コミュニケーションできる人数は6名程度が上限になるためです。



(解説) オープン会議スペースの人数の上限について


オープン会議スペースは周りで会話されていますので、騒音環境下になります。騒音レベルは、静かな事務所レベルの50デシベルから、デパートの店内レベルの60デシベルの間と考えられます。会話が成り立つ目安としては、60デシベルで大声で3m以内、50デシベルで普通の声で3m以内という目安がありますので、会議メンバーは直径3mの円内に入ることがスムーズな会話には望ましいと考えられます。


直径3mの円内に入るのは6名程度。

直径3mの円内に入るのは6名程度。


それに対して会議室であれば壁の反射もあるので、声が響きやすく大勢の会議でもマイクを使わなくてもよく聞こえるのです。周囲の雑音を遮断し、壁の反射で室内に声が響くことで、会議室は声が聞こえやすいのです。逆に、響き過ぎる場合、吸音材を貼るなどの対策が必要です。




省スペース性は前項で説明しましたように、通路分でファミレス席が優れます。


設置の容易さは、工事を必要とする会議室に比べて、家具を置くだけで作れるファミレス席が優れます。


コストは、工事不要で家具を設置するだけのファミレス席が安くなります。実際の費用は本稿の最後にまとめています。




■もっとあるファミレス席の魅力


[魅力ポイント] セミクローズドさ

基本的にオープンなファミレス席ですが、座ると目線が隠れる程度のパネルがついていることが多いので、座ると個室感があるのもポイントです。オープンなのに、使ってみると個室感もあるというセミクローズドさも人気の理由です。



[魅力ポイント] かまくらのような、茶室のような魅力

ファミレス席は、ほぼ必ず片側が壁(または窓)になります。4~6人用のファミレス席の場合、奥側に座るには、入口側から順に座りながら横にずれて入らなければなりません。これが不思議とワクワクします。まるで、洞窟やカマクラのような、狭い空間に入っていく行為が、子供のころの秘密基地に入るときのワクワク感を呼び覚ますようで、ここがファミレス席の不思議なところです。



[魅力ポイント] 予約なしですぐ使える

ファミレス席は予約不要にしておくことをおすすめします。多くの会社では、空いていれば予約なしで使えるようにしていることが多く、打合せしたいときにすぐに使えるというのが人気のポイントになるようです。「今すぐ打ち合わせしたいのに、会議室が取れないから会議できない」というストレスから解放されることも人気の理由かもしれません。



[魅力ポイント] 打合せまでの移動時間がほぼゼロ

ファミレス席の設置場所は、執務デスクがあるところからあまり遠くない、執務エリア内の壁際や窓際などの空いたスペースに置くことをおすすめします。ちょっとそこで打合せしよう、と使えると使い勝手が良くなります。柱の近くや、壁際、窓際と言った、執務デスクには使いづらい場所でも、ファミレス席なら大丈夫です。



ファミレス席は本当に流行っていて、オフィス取材に伺うとほぼ必ず使われており、社内の人気スペースになっています。「みんなの仕事場」でも、約2年前に特集しています。


【参考】「イマドキのオフィスには必須かも?!オフィス内「ファミレス席」大研究【前編】




■では、ファミレス席を作ります!


それではアスクルで販売している家具でファミレス席を作ります。



■ファミレス席の材料

パネル付ソファを使います。初めからファブリック張りのパネルがソファについているもので、ファミレス席を作るのに便利なのです。パネルの高さは、座ると目線が隠れるよう1230mmの高さになっています。

パネル付ソファを使います。


初めからファブリック張りのパネルがソファについているもので、ファミレス席を作るのに便利なのです。パネルの高さは、座ると目線が隠れるよう1230mmの高さになっています。



テーブルは幅と奥行があえば何でも良いのですが、脚についてはセンター脚タイプがおすすめです。ファミレス席はテーブルとソファの間隔が近く、座る際は横からスライドするように入るのでテーブル脚は中央にあったほうが足入れしやすいのです。カフェで使われていることが多いのも同じ理由です。

テーブルは幅と奥行があえば何でも良いのですが、脚についてはセンター脚タイプがおすすめです。


ファミレス席はテーブルとソファの間隔が近く、座る際は横からスライドするように入るのでテーブル脚は中央にあったほうが足入れしやすいのです。カフェで使われていることが多いのも同じ理由です。




■側面パネル付 4~6名用ファミレス席

パネルソファを、右側パネル+背パネル+左側パネル、というふうに組み合わせています。

パネルソファを、右側パネル+背パネル+左側パネル、というふうに組み合わせています。


4~6名用としているのは、1人あたりの幅が550mmなので6名着座だと、男性の場合、余裕があまりありません。といっても、通勤電車のロングシートと比較すると、そちらは1人あたり460mmが多いようなのでそれよりは余裕があります。


女性の場合であれば、6名着座でも問題ない広さです。男性が多ければ、4名常用、最大6名という使い方が良いのではないでしょうか。また、少し横長になってしまいますが、6名が多いのであれば、背パネルソファをもう1台追加するのも方法の1つです。




レイアウト図 (真上から見た図)

テーブルとソファの間はそれぞれ200mm空けてあります。

テーブルとソファの間はそれぞれ200mm空けてあります。




■側面パネル無し4~6名用ファミレス席

背パネルのみのパネルソファを3つ組み合わせています。こちらも4~6名用としているのは、4名常用、最大6名という使い方が良いと思います。

背パネルのみのパネルソファを3つ組み合わせています。こちらも4~6名用としています。男性が多い場合、4名常用、最大6名という使い方が良いと思います。


側面パネルがないので、見通しが良いため、窓際に置いても開放感がありおすすめです。




レイアウト図 (真上から見た図)

テーブルとソファの間はそれぞれ200mm空けてあります。

テーブルとソファの間はそれぞれ200mm空けてあります。




■ファミレス席のさまざまな設置シーン

グレーのパネルソファを壁際に設置した例です。

グレーのパネルソファを壁際に設置した例です。


暗めのグレーなので、レイアウトソフトのCGでは暗くべたっと描写されてしまいますが、落ち着いた色合いです。



側面パネルなしのパターン。

グレーで、側面パネルなしのパターン。



側面パネル付を窓際に置いた場合。

側面パネル付を窓際に置いた場合。


高さ1230mmの側面パネルで座っている人の目線が隠れることが分かるように、側面パネルがあるとセミクローズド感が高まります。



側面パネル無しだと横からの見通しが良く、窓際であれば明るくなるというメリットがあります。特に窓際設置の場合は、こちらがおすすめです。

側面パネル無しだと横からの見通しが良く、窓際であれば明るくなるというメリットがあります。特に窓際設置の場合は、こちらがおすすめです。



打合わせシーン

ほぼ人間目線でファミレス席で打合せ中のところをCG撮影。

ほぼ人間目線でファミレス席で打合せ中のところをCG撮影。



狭さはどれくらい?

パネルソファの1人あたりの幅が550mmでちょっと狭めなので男性6人が座るとあまり余裕がないというお話をしましたが、モデルを使ってシミュレーションしました。

パネルソファの1人あたりの幅が550mmでちょっと狭めなので男性6人が座るとあまり余裕がないというお話をしましたが、モデルを使ってシミュレーションしました。


左は女性モデル。肩幅は470mmと平均より少し広めに設定していますが、問題なく座れる幅です。


右は男性モデル。肩幅は509mmとこちらも平均よりかなり広めに設定しています。そのため、肩幅は入るものの、PCを操作すると肘が当たりそうです。そのため少し窮屈な感じがします。


ちなみに、狭いとよく言われる通勤電車のロングシートは、1人あたりの有効幅は450mmとのことなので、それよりは余裕があります。(注2)


注2) JIS E 7104:2015によります。車両の設計により違いがあるとのこと。




■ファミレス席にかかる費用


最後にどれくらいの費用がかかるかというお話ですが、記事の執筆時点では、以下のようになります。



側面パネル付4~6人用ファミレス席 191,300円(税抜き) (注3)
側面パネル無し4~6人用ファミレス席 167,300円(税抜き) (注3)

注) 記事中の商品価格は2019年10月20日時点の価格に基づきます。設置・組立費用は含まれません。改良のため仕様が変更になる場合があります。商品の品切れ、販売終了等によりご購入いただけない場合はご容赦ください。



1セット税抜きで20万円を切るくらいなので、一般的な会議室を作るよりはかなりお安く済みます。また、家具を置いているだけなので、模様替えに合わせて移動も可能というのもポイントです。






■終わりに


会議室不足はファミレス席追加で解決!」をお送りしました。


オフィスのレイアウト全体を変えるのは大変ですが、今回のように、会議室不足にファミレス席をいくつかオフィスに追加するだけで、オフィスの機能性はアップしますし、雰囲気も変わります。


本シリーズ「初心者でもプロっぽくできるオフィスレイアウト」では、オフィスの問題を1つ1つ、レイアウトで解決できることをご紹介していきます。




【参考】今回の商品一覧 (アスクルWEBサイトへのリンク)


[N130]側面パネル付4~6人用ファミレス席の商品


[N131]側面パネル無し4~6人用ファミレス席の商品



■PDF資料ダウンロード

今回のファミレス席を作る内容は「ワンポイント・レイアウト サンプル集」としてPDF資料を作成しています。





■次回以降予告


次回は「オフィスにカフェを作ってコミュニケーション」です。


普通の執務エリア内に社内カフェが作れる、というのをご紹介します!


初心者でもプロっぽくできるオフィスレイアウト===次回以降予告===オフィスにカフェを作ってコミュニケーション窓際を休憩&集中席に!窓際を使うわけ通路は隠れた主役。通路設定のポイント


お楽しみに!






≪コラム≫ファミレス席の不思議な魅力について


今回ご紹介したファミレス席は、オフィスを取材するとほぼ必ずと言っていいほど見かける空間になりました。そしてどこでも人気なのです。


本記事では、不思議な魅力を「かまくら」とか「茶室」と表現しましたが、実際に不思議な魅力がファミレス席にはあります。堅い雰囲気のオフィスもファミレス席型のオープンミーティングスペースを置くだけで、かなり雰囲気が変わるのです。そして、それは造作のファミレス席でなくても、アスクルで買った家具でこうやって作っても感じられるものなのです。


空間が人間心理に与える効果を手軽に実感できるので、本当に試してほしいおすすめの空間の1つです。この記事ではそうした空間の持つ力をお伝えしていきます。(阿曽)









編集・文・撮影:アスクル「みんなの仕事場」運営事務局 (※印の画像を除く)
制作日:2019年 11月6日




注) 記事中の商品価格は2019年10月20日時点の価格に基づきます。設置・組立費用、床、壁、会議室のパーティションは含まれません。商品の品切れ、販売終了等によりご購入いただけない場合はご容赦ください。




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2016年11月17日のリニューアル前の旧コンテンツは
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