外観
masser de la vie paradis salon Caresse moi
カレスモアは「健康だからこその美しさ」というコンセプトのもと,機械や器具を一切使わずに手のみでトリートメントを行う,女性向けのサロンである.オーナーからの「自然の中のような,気持ちの良い空間としたい」「各ブースは閉じずに開放しつつも,個室のような安心感を与えたい」という要望を同時に満たす回答が,この木の箱となった.
施術イスに座ったゲストの,視線だけを遮る高さに設定した木の箱は,貴重品の収納,施術道具やタオルを入れる棚,ホットキャビネット,調光器,施術後に化粧直しをする机といった,様々な機能を兼ね備えている.各施術イスの周りだけで必要な機能を完結させることによって,サービスの向上を図った.また事務所仕様であったビルの天井の低さを生かすために,木の箱を床からも切り離すことで,天井と床が2つの面として意識されるようにしている.こうして浮かび上がった大木の幹のような塊は,いくつか集まることによって,森や林のような表現となった.店内を案内されるゲストは,それぞれ高さや長さが異なる木の箱の間を通り抜けながら,林の中を歩いているような,楽しさと気持ちの良さを感じることができる.
店舗の場所は東京ミッドタウンの目の前にある.六本木の地名の由来となった6本の大木の木陰で,当時の人々は一時の休息をしたのだろう.その大木がここに再現され,新たな安らぎの場となることを期待している.
商店建築2008年2月号掲載
JCDデザインアワード2008 新人賞
KEYWORDS:
COLOR:ベージュ、ナチュラル