近年、オンライン会議やフリーアドレスなど多用な働き方の普及に伴い、オフィスの一角に周囲の雑音や視線を遮るための集中ブースや防音ブースといった個室スペースをつくる企業が増えています。本記事ではオフィスにこのようなブースの設置を検討している企業や担当者に向けて、個室・防音ブースを設置するメリットと設置時の注意点を解説するとともにブースの種類とおすすめブースを紹介します。
■個室・防音ブースを設置するメリット
個室ブースや防音ブースなどの個室空間をオフィスに設けることでさまざまなメリットが得られます。
●手軽にスペースが確保できる
改装工事をして個室を設置しようとすると、多額の費用と時間がかかります。しかし、ブースの場合は工事が必要なく、スペースさえあれば手軽にパーソナルスペースを確保できます。
●レイアウト変更が容易
ブースの位置を変えたいときもブースごと手軽に移動できるため、レイアウトの変更が容易なのもポイントです。大掛かりな工事を必要としないため、追加や撤去なども簡単に行えます。
●集中力・生産性の向上
周囲の雑音や視線が遮られるブースは、集中力を要する作業を行うのに適した空間です。集中できる環境が整うことで従業員の業務効率が上がり、全体的な生産性の向上が期待できます。
＜活用シーン例＞個人作業用スペースとして
オフィスにいながらパーソナルな空間を確保できるのが、集中ブースの強みです。静かな環境のほうが集中できる方はもちろんのこと、外部に漏らしたくない顧客情報や従業員の個人情報などを扱う方も周囲からの視線が気にならないため作業がしやすくなります。
●会議中の雑音阻止
オンラインでの会議や商談の際、周囲の音がうるさいと相手の声が聞こえにくく、会議がスムーズに進みません。これは取引先との電話の際も同じです。しかし、防音ブースなら周りの音を気にせずに相手との会話に集中できます。また、人の視線も遮断でき、Web会議であれば画面の背景に人が入ることもありません。
＜活用シーン例＞Web会議や電話商談スペースとして
企業では働き方改革やコロナ禍の影響で多様な働き方が認められるようになり、Web会議や電話商談の機会が増えました。個室ブースは会議室よりも多く設置でき、会議室が空いていないときに代わりのスペースとして利用できます。また、外部の人に聞かれては困る情報を話す場合もこのスペースなら話を周囲に聞かれる心配がなく、静かな環境で安心して話せます。
■ブースの種類 ― 個室タイプとオープンタイプ
個室ブース、防音ブース、集中ブースなど、さまざまな呼び名があるブースですが、その種類は天井・壁・床のすべてが囲われた「個室タイプ」と、天井や壁の一部がオープンになっている「オープンタイプ」の2つに分けられます。それぞれの主な特徴は以下の通りです。
個室タイプは防音性に優れており、Web会議にも最適な環境です。しかし、商品によっては消防法に抵触する可能性があるため、購入時には注意が必要です。さらに価格や導入コストがオープンタイプに比べて高額なことが多いです。一方、オープンタイプは完全に遮音はできませんが、適度に雑音や視界が遮られるため、集中スペースとして最適です。また、簡単に組み立てられるものが多く、導入コストが比較的安めです。自社に最適なブースの選択には、導入目的・コスト・オフィスの設置位置の制限等を考慮する必要があります。
■代表メーカーのおすすめ個室・防音ブース
個室タイプとオープンタイプ、それぞれ代表メーカーのおすすめ商品を紹介します。
【個室タイプ】：オカムラ テレキューブ
遮音性・防火性に優れたフルクローズ型の集中ブースです。人感センサーにより自動的に照明や換気ファンがON・OFF制御されます。1人用、2人用、4人用があり、外装パネルはオフィスの雰囲気に合わせて選べます。また、内装や天板の種類などのバリエーションが豊富です。
【1人用（1000W・1200W）】外寸：幅1000・1200×奥行き1200×高さ2325mm
【1人用（スライドドア）】外寸：幅1200×奥行き1300×高さ2325mm
【2人用（2000W・2400W）】外寸：幅2000・2400×奥行き1200×高さ2325mm
【4人用】外寸：幅2000×奥行き1,600×高さ2325mm
okamura オフィス│TELECUBE［外部リンク］
【個室タイプ】コクヨ ワークポッドフレックス
コクヨの個室ブースは、多彩なカラー展開が特徴です。また、1人用ブースはソファー、デスク、スタンディングの3タイプから選べます。人感センサー搭載で、使用する人の操作なくとも利用時は常に40秒に1回※の間隔で換気されます。
【1人用（ソファー・デスク）】外寸：幅1100×奥行き1100×高さ2420mm
【1人用（スタンディング）】外寸：幅1100×奥行き1100×高さ2420mm
【2人用（ソファー）】外寸：幅2200×奥行き1100×高さ2420mm
【4人用（ソファー）】外寸：幅2200×奥行き1400×高さ2420mm
KOKUYO│WORK POD FLEX［外部リンク］
【個室タイプ】関家具 フォーンブース コロ
スタイリッシュなデザインが印象的なこちらのブースは、一般的なサイズのほか、天井の低いオフィスでも対応できるコンパクトサイズの「Milli」シリーズを展開しています。ブース内のLEDライトはお好みで明るさと色温度を調整でき、一部のブースでは施錠が可能です。
【Milli Sit（1人用チェア）】外寸：幅1200×奥行き825×高さ2113mm
【Milli Stand（1人用スタンディング）】外寸：幅1000×奥行き890×高さ2253mm
【KOLO Solo（1人用チェア）】外寸：幅1000×奥行き1000×高さ2264mm
【KOLO Midi（1人用ワイド）】外寸：幅1600×奥行き1220×高さ2264mm
【KOLO Duo（最大4名まで）】外寸：幅2200×奥行き1220×高さ2264mm
※KOLO消火装置付きタイプは高さ2434mm
関家具│KOLO［外部リンク］
【個室タイプ】アイリスチトセ テレキューブ
スチール製の集中ブースの中では他より安価な価格設定の商品です。ダウンライトに加え、フロント部分の両サイドにライン上のLED照明が搭載され、顔に影をつくらずに表情を鮮明に映すことができ、Web会議の際に便利です。
【1人用（オートヒンジタイプ）】外寸：幅1200×奥行き1100×高さ2361mm
【2人用（コンシールドタイプ）】外寸：幅2100×奥行き1100×高さ2361mm
【4人用（コンシールドタイプ）】外寸：幅2100×奥行き1500×高さ2361mm
IRIS CHITOSE│TELECUB［外部リンク］
【オープンタイプ】オカムラ ドレープ
吸音パネルで包み込むように設計された、オープンタイプのブースです。コンパクトながら周囲の視線を遮り、集中力を高められます。また、視界の向きやのぞき込み防止に配慮した4面壁（テトラ）、5面壁（ベンタ）のブースが展開されているのも特徴です。
左から【1人用（トライ）】【1人用（テトラ）】【1人用（ベンタ）】
【1人用（トライ）】外寸：幅1000×奥行き1000×高さ1920（1520）mm
【1人用（テトラ）】外寸：幅1000×奥行き1200×高さ1920（1520）mm
【1人用（ベンタ）】外寸：幅1150×奥行き1120×高さ1920（1520）mm
※上記以外に、1人用（ソファタイプ）、ミーティングブース（ソファタイプ・スタジオタイプ）もあります。
okamura オフィス│drape［外部リンク］
【オープンタイプ】アイリスチトセ 吸音ブース
吸音効果のあるフェルトを使ったパネルで囲んだ、音漏れのストレスを軽減するブースです。簡単なスタンディングでの打ち合わせに便利な「テレフォンブース」と、オンライン会議や集中作業などに適した「集中ブース」の2種類があり、他社より安価な価格設定の商品です。
【テレフォンブース】外寸：幅966×奥行き966×高さ1800mm
【集中ブース】外寸：幅1266×奥行き1266×高さ1600mm
アイリスチトセ 吸音ブース［外部リンク］
■個室タイプの設置条件
工事不要で手軽に設置できる集中ブースですが、前述したように個室タイプは設置の際にいくつか注意が必要です。
●天井高は2200mm～2600mmを確保する
ブースのサイズはさまざまですが、一般的に設置するにあたって天井高が2200mm～2600mm必要です。安全に設置・使用するために設置予定のブースの大きさを事前に確認し、自社の天井高がその範囲であるかどうかを確認しましょう。
●避難経路や設置許可が必要な場所は避ける
設置場所を決める際は、消火装置や防災シャッターの使用や稼働に影響する場所、防災・非常放送が聞き取れないなどの影響を与える場所、避難誘導灯や避難導線の障害になる場所は避けましょう。また、ビルの構造体（梁や柱）がある場所、ビルの管理会社や所有者、管轄消防署、そのほか官公庁の設置許可が必要な場所も避けたほうがよいです。
●搬入に必要なエレベーターのサイズを確認する
ブースを安全に搬入するために、エレベーターのサイズを確認しましょう。搬入に必要なエレベーターのサイズは以下の通りです。
扉部分：幅800×高さ2100mm以上
カゴ：幅1400×奥行き1100×高さ2300mm、対角線2700mm以上
■おわりに
個室ブースや防音ブースといったブースは、多用な働き方に適した空間です。ブースの導入により、集中力・生産性の向上や会議中の雑音防止などのメリットが期待できます。ブースには「個室タイプ」と「オープンタイプ」の2種類があり、遮音性やコストの違いがあります。それぞれの設置条件を確認しながら、ブースの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ブースの設置をについて専門家に相談したい場合、アスクルの「オフィスづくりサービス」をご利用ください。必要に応じて現地調査も行い、商品の選定から設置までトータルサポートします。
また、アスクルではブースのレンタルサービスも行っています。初期費用無料で始められるので、設置を迷っているのなら、まずこちらを検討してみてはいかがでしょうか。
アスクルオフィスづくりサービス│集中ブース・ワークブース（防音・遮音）
https://www.askul.co.jp/f/services/furniture/construction/workbooth/
https://www.askul.co.jp/f/services/furniture/construction/workbooth/
編集・文・画像：アスクル「みんなの仕事場」運営事務局
制作日：2023年3月2日